「すべてを楽しめ」──美容師の青春は、まだ終わらないLONESS片山良平が胸に刻むコトダマ

美容師として歩むなかで、時に迷い、壁にぶつかる瞬間は、誰にでも訪れます。そんなとき、背中を押してくれるのは“言葉の力”かもしれません。シリーズ「美容師のコトダマ」では、第一線で活躍する美容師たちが心に刻んできた“人生を変えた言葉”を紹介します。今回はLONESS(ローネス)オーナー・片山良平(かたやまりょうへい)さんが登場。恩師から授かったひと言と、その言葉を胸に挑み続ける姿に迫ります。
専門学校の校訓「すべてを楽しめ」

僕の人生の大きな転機は、名古屋の美容専門学校時代にありました。何か理由があってその学校を選んだわけではなく、入学当初は勉強にもあまり乗り気ではなかったんです。けれども、クラスメイトの「やろうよ」という一言に背中を押されて挑戦し、成果が出てくると次第に楽しくなっていった。その繰り返しの中で、美容にどんどんのめり込んでいきました。振り返れば、「青春」を全力で楽しむようなあの経験が、今の自分の大きな基盤になっていると思います。美容師として働く今も、どこかで「青春の続きをやっている」感覚があるんです。

そんな専門学校時代に強く心に残っているのが、校訓の「すべてを楽しめ」という言葉です。学生の頃は深く考えずに聞き流していましたが、大人になった今、その意味を実感しています。どんな状況でも楽しんで取り組めるかどうかで、物事の見え方や結果は大きく変わる。現実そのものは変わらなくても、自分の姿勢や向き合い方次第で好転させることができる。これは今でも大切にしている教えです。
そして今、40歳を迎えようとしている自分に強く感じるのは「いつだって今が一番若い」ということ。50代になれば、体力も気力も落ちて、頑張れなくなるかもしれない。だからこそ、いま全力で楽しみながら取り組むことに意味がある。体力づくりや健康管理も含めて「今をどう頑張るか」が重要であり、最終的には「すべてを楽しむ」というシンプルな結論に戻ってくるのだと思います。
心にとめている座右の銘「道はある、あとは進むだけ」

「道はある、あとは進むだけ」。これは僕自身が常に心に留めている座右の銘であり、スタッフにもよく伝えている言葉です。
アシスタントの頃のことです。ある会社から、「美容師としてブログを書いてほしい」と依頼され、その交流の中で出会った社長からいただいた言葉です。
詳しい状況はもう覚えていませんが、僕が何かに迷っていた時だったと思います。「片山くん、道はあるんだから、あとは進むだけじゃん」と背中を押され、目の前がひらけたんですよね。

その社長さんは、当時10歳ほど年上の男性で、裸一貫で事業を立ち上げ、渋谷に200坪のオフィスを構えるまでに成長させた、まさに「バリバリの起業家」でした。ご自身の経験をもとに、さまざまな話をしてくださる方で、その一言の重みはいまも心に残っています。
右に行くか左に行くかは関係ない。自分が選んだ道を「正解」にしていくしかない。時間は有限だからこそ、立ち止まらずに早く進むべきだ。僕は本気でそう信じています。