「すべてを楽しめ」──美容師の青春は、まだ終わらないLONESS片山良平が胸に刻むコトダマ

恩師のダメ出し「お前のプライベートなんて、興味ないから」

 

 

前職のサロン「NORA」では、オーナーの広江(広江一也)さんから大きな影響を受けました。デビューから3年目の頃、「月300万を売り上げたらハサミをください」とお願いしたことがあり、実際にその約束を果たして本当にハサミを譲っていただいたのは今でも鮮明に覚えています。広江さんの言葉にはいつも魂が宿っていて、接客や朝礼、ミーティングなど、どんな場面でも心を動かされました。僕にとって、広江さんはずっと憧れの存在であり、背中を追いかけ続けた師匠でした。

 

一方で、強烈に心に残っている厳しい一言もあります。アシスタント時代、接客中にプライベートの話をしていたときに「お前のプライベートなんて興味ねえから、接客中に話すな」ときっぱり言われたんです。ヘアケアやスタイルについてなど話せればよかったのですが、当時は技術も知識もまだまだ未熟で、お客さまと何を話せばいいのかわからず、会話が怖くなってしまった時期がありました。

 

 

だからこそ、今の僕は逆に「とにかく喋れ」と伝えています。アシスタントが失敗しても、最終的な責任はスタイリストやお店が取ります。だから安心して、まずは喋ってみればいい。プライベートでも趣味でも何でもいいから会話してみること。その小さな積み重ねが、デビューした後に必ず大きな力になるのです。

 

僕自身、喋らなかったことで苦労した経験があるからこそ、スタッフには同じ壁にぶつかってほしくない。むしろトライアンドエラーを繰り返すことでしか得られない成長があるはずです。振り返ると、師匠からの厳しいダメ出しや叱責も、すべてが今の自分の糧になっています。ダメ出しをもらって、一度喋れなくなる経験がなければ今の考えもなかったわけですから。どんな言葉も後の自分を形成しているんですよね。

 

カリスマ美容師の言葉「髪を切っているんじゃなくて、女性の幸せをつくっている」

 

 

髪を切ることで気持ちが切り替わり、再現性の高いヘアスタイルで毎日の生活が少しずつ楽しくなる。その積み重ねが「幸せ」につながっていく。だから、「僕らは髪を切っているのではなく、女性の幸せをつくっている」と、あるカリスマ美容師が教えてくれました。僕がいまもスタッフに伝え続けている大切な言葉です。

 

 

美容師という仕事は単に「髪を切る」というものではないと思います。僕らが本当に提供したいのは「幸せ」。髪を切ること自体はどこでもできるけれど、そこに「幸せを感じてもらう認識」があるかどうかが大きな差になる。お店の名前「LONESS」も、「女性の幸せとは何か」というテーマから生まれました。ある小説の中で、女性が「愛と優しさがあれば、常に幸せでいられる」と語るシーンに強く惹かれたんです。そのフレーズにマーカーを引いて残していて、独立して店名やコンセプトを考えるときに自然とリンクしました。創業時の想いを今も僕は持ち続けています。

 

>偉人たちが断言する「ブランドとは顧客との約束である」

 

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