「すべてを楽しめ」──美容師の青春は、まだ終わらないLONESS片山良平が胸に刻むコトダマ
偉人たちが断言する「ブランドとは顧客との約束である」

本や漫画などから学んできた言葉を自分なりにリスト化しています。その中からひとつ挙げると「ブランドとは顧客との約束」という言葉を大切にしていますね。
たとえば、ハイブランドのお店に行けば「こういう接客をされるんだろうな」「商品に不具合があっても、必ず誠実に対応してくれるだろう」という安心感がありますよね。ブランドというのはそういう信頼に基づくものだと思うんです。

僕らのブランド「LONESS」も同じで、この価格帯で銀座や表参道にお店を構えている以上、お客さまは安心感を求めています。だからこそ練習を怠らず、気づきを大切にし、サービスを考え続ける。主体性を持って動くことが大切だと常々感じています。
名作漫画の名言「人の本質は火だ」

漫画『キングダム』が大好きで全巻そろえていますが、その中でも「人の本質は火だ」という言葉は、とくに強く心に残っています。人は火のように燃え上がり、誰かに火を分け与え、その炎がまた次の人へとつながっていく。その姿には、人間の本質や生き方のヒントが凝縮されているように感じるのです。

この言葉は、僕が普段口にしている「魂を燃やせ」という言葉とも重なります。自分の内にある熱を絶やさず、周囲に伝えていく。その積み重ねが人を動かし、やがて大きな流れを生み出していく。そう考えると、美容師という仕事にも通じる部分が多いんですよね。
アニメや映画、ドラマや旅行など、現実の体験と物語の疑似体験を通じて、僕はいつも言葉に救われてきました。「あのとき、こんな言葉をかけてもらえていたら、自分は立ち直れたかもしれない」と思える瞬間もたくさんあります。その記憶が自分のなかに格言のように積み重なり、いつしか生きる指針となっていました。
そうして出会った言葉のひとつひとつが、今も僕の背中を押し、支え続けてくれているんです。

- プロフィール
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LONESS/オーナー
片山良平(かたやま りょうへい)
名古屋美容専門学校を卒業後、渡英、帰国後に表参道有名店でクリエイティブディレクターを経て、2016年に本田治彦氏とともに独立。「今までの日常をブラッシュアップさせる」をテーマに、技術だけでなく空間にもこだわったコンセプトサロン『LONESS』を表参道にオープンさせる。2019年には2店舗目となる『LONESS ginza』をオープン。サロンワークを中心に一般誌、業界誌の撮影、芸能関係のヘアデザイン等で幅広く活躍している。
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)
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