迷っても、不安でも。言葉に支えられて、ここまで来られた。 表参道の人気サロンNIMO.代表 和田かな子のコトダマ
「誰がなんと言おうと成功すれば、それが正解だよ」

NIMO.は表参道エリアで、拡張移転を経験しています。といっても、実は前の場所で営業できなくなり、移転するしかなかったのが本当のところです。本音をいうと、あまり上手くいっていない状態で移転するのに、移転先に広い物件を選んだものだから、正直、怖かった。お金のこと、場所のこと、スタッフのこと全部心配でした。
先輩の経営者にも「今、動くのは早すぎるんじゃないか」「もう少し準備した方がいいんじゃないか」と何度も言われました。
たしかにその通りで、リスクを考えたら、止まる理由はいくらでもあったんです。それでも私は、スタッフを守りたい、仲間ともう一度ちゃんと夢を見たい、と思っていました。

そんな気持ちで相談したとき、森越さんが一言、こう言ったんです。
「いや、誰がなんと言おうと成功すればそれが正解だよ」
その言葉に、心が一気に軽くなりました。「うまくいくかどうか」よりも、「やるか、やらないか」なんだと思いました。
あのとき、もしあの言葉をかけてもらえなかったら、私はまだ迷い続けていたと思います。立ち止まり、何が正しいのかを探しながら。結果として、私は挑戦することを選び、その経験が今につながっています。“正解”は最初から誰かが持っているものではなく、自分の行動や選択の積み重ねで“解”を変えていくものなんだと。
「一生ついていくんで、安心してやりたいことをやってください。」

拡張移転を決めたときは本当にうまくいくのか不安な毎日でした。前の物件は共同経営。そこから離れると決めたものの、次の物件も資金の見通しも見えないままだったんですよ。
それでも前に進むしかなくて、「これで本当に大丈夫なのか」と、毎日眠れませんでした。でも、そんなときに、ずっと一緒にやってきた2人のスタッフが私に言ってくれたんです。
「かな子さん、一生ついていくんで、安心してやりたいことをやってください」。
その瞬間、胸から熱い思いが込み上げてきて涙が止まりませんでした。不安よりも、「この子たちを絶対に幸せにしたい」という想いが私をつき動かしました。

私はずっと「みんなを引っ張らなきゃ」と思っていたけど、本当は、支えられていたのは私の方だったんだな、と。
崖っぷちに立たされたような状況の中で、この言葉が、強く背中を押してくれました。「守る側」だと思っていた自分が、「信じてもらう側」になった瞬間でした。
あの日の一言がなかったら、きっと今のサロンは存在していなかったと思います。だから私は今も、あのときの言葉に応えられる自分でありたいんです。みんなが「ついていきたい」と思える背中でいられるように。

- プロフィール
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NIMO.代表
和田かな子(わだかなこ)
千葉県出身。幼少時代から美容師になることを志し、東京ベルエポック美容専門学校を卒業後、都内の有名技術サロンに入社。原宿、銀座エリアで活躍したのち、27歳でディレクターに昇格。2021年秋に独立の為退職し、2022年2月表参道に『NIMO.』をオープン。2024年10月に拡張移転。
Instagram:@nimo.kanako727
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)