人生の岐路で背中を押したのは、いつも誰かの言葉だった。 髪質改善Period.代表 ライコウのコトダマ

美容師として歩むなかで、時に迷い、壁にぶつかる瞬間は、誰にでも訪れます。そんなとき、背中を押してくれるのは“言葉の力”かもしれません。シリーズ「美容師のコトダマ」では、第一線で活躍する美容師たちが心に刻んできた“人生を変えた言葉”を紹介します。
今回登場するのは、髪質改善サロン「Period.(ピリオド)」を率い、全国の美容師から注目を集めるライコウさん。2年遅れで美容業界に飛び込み、迷いながらも道を切り開いてきた彼は、恩師や仲間、家族のひと言に何度も救われてきたといいます。独立、メーカー設立、セミナー開催──挑戦を重ねてきた彼が語る“人生を変えたコトダマ”とは。
「やってみれば?」母のひと言で、美容の道へ

美容師になる前、僕は大学で生物学を学んでいました。でも正直、将来の展望は見えていなかった。興味はあるのに、どこか心にひっかかるものがあって、気持ちが定まらない時期でした。
姉に相談したところ、母がふとこう言ったんです「もし美容師に興味があるなら、やってみれば?」。母は美容室を営んでいたこともあり、将来に迷う僕の気持ちを見抜いていたんだと思います。
強く押されるでもなく、否定されるでもなく。ただ、軽やかに背中を押すようなそのひと言が、不思議と胸に刺さりました。

そこから、美容学校の通信で学びながらサロンで働く生活が始まりました。昼はサロン、夜は中華料理屋でバイト、帰宅はいつも深夜。体力的にはかなりきつかったけれど、美容師として期待する母や姉からのお節介とも取れるヒーロー的な支援のおかげで乗り切れました。
姉も美容師で、「通信なら早くデビューできるし、お金もかからないよ」と背中を押してくれました。父の方針で高校の頃から学費はすべて自分で払ってきた僕にとって、現実的で、温かい言葉でした。母と姉がいなかったら、美容師にはなっていなかった。二人の言葉が、僕にとって“最初のコトダマ”でした。
「言われたわけじゃないのに、姿勢にハッとした」SNSの仲間からの刺激

美容師になって数年たった頃、SNSのオープンチャットをきっかけに、美容師としての志が異次元に高い仲間たちと出会いました。
売上、ケミカル、ブランディング、求人、経営……美容師という仕事を「ただの仕事」で終わらせず、自分の人生そのものとして向き合っている人たち。その頃僕は何を目指すでもなくただぼーっと美容師をしていたんですが、彼らの姿勢や働き方に触れるたび、胸が揺さぶられました。
「あ、自分にはまだまだできることがある。」
そう思わせてくれる瞬間が何度もありました。

大学時代の生物学や体毛研究の知識がケミカルとつながり始め、学べば学ぶほど美容師がどんどん楽しくなる。そんなポジティブな連鎖が起き始めました。この時期出会った仲間たちに言われた言葉は全て“美容師として一歩先にすすむために背中を押してくれるコトダマ”でした。