サロンの外に出ることで感性を耕す。アートと自然が生む発想の源 -Liner代表 伊藤恵一の習慣-【後編】

 

サロン名通り一線を画すデザインを提案し続ける Liner(ライナー)代表・伊藤恵一(いとうけいいち)。その感性の源には、サロンの外で過ごす豊かな時間があります。「美しいものを見続けることで、自分の引き出しが増えていく」。後編では、第一線で活躍しながらも探究をやめない伊藤さんが“感性を磨く習慣”を語ります。

 


 

美しいものをたくさん見て、“感性の引き出し”を増やす

 

 

美術館には、月に1回は必ず行くようにしています。展示の内容にもよりますけど、都内だけじゃなくて、車で関東圏の少し遠い場所にも足を運びます。サロンワークって基本的に同じ場所にいる仕事なので、外の空気や景色に触れるだけでもリフレッシュになるし、自分の“ものの見方”をアップデートする感覚があるんですよね。

 

この前は、新潟の「大地の芸術祭」に行ったんです。大地の芸術祭の拠点のひとつである、越後妻有里山現代美術館MonETが本当に素晴らしくて。展示の内容もさることながら、いわゆる市街地に、あれだけ素晴らしいアートが常設されていることにまずはびっくりしました。

 

現代アートが好きで、特にインスタレーションなど、空間表現の作品に惹かれます。その時見た中では、レアンドロ・エルリッヒの作品が印象的でした。建物と空が水に反射して見えるんですけど、実は視覚的な錯覚を巧みに使った絵なんですよ。現実と非現実の境界を問い直す“視覚の裏切り方”にすごく刺激を受けます。角度を変えるだけで全然違う印象になる。その感覚は、ヘアデザインにも通じる気がします。僕が考えるカットって、彫刻に近いんです。髪を素材だとしたら、そこから削って形を生み出していく。

 

 

絵画を眺めながら、「なんでこの色の組み合わせがきれいと感じるんだろう」と考えたり。たとえば、深い緑の中に少し紫を差し込むだけで、その場の空気が洗練されるとか。そういう色彩の関係性は、そのままヘアカラーの調合や質感づくりに応用できる。だから、美しいものを見続けることは、自分の仕事の精度を高める一番のトレーニングだと思っています。

 

>自然の中で“頭を空っぽにする”

 

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