フォロワー40万人を1年強で獲得。国内外でカット講師としても活躍するオーナープレイヤー・呉等至が挑んだSNSと、離職率に悩んで導き出した正解とは

 

育てても辞めていく。離職の連鎖に苦悩した日々

 

 

――人材育成においても、さまざまな課題に直面したとか。

 

アシスタントが、デビューしたら辞めるという状況が2〜3年続いたんですよ。自分なりに一生懸命育てていたつもりでしたが、うまくいかなくて悩みました。そこから教育のやり方を一新しようと思い、スタッフの練習を朝も夜も毎日しっかり見ることにしたんです。それを続けていく中で自分の至らなかった部分も見えてきましたし、スタッフも育って、全体の売上が上がってきました。あのとき覚悟を決めたのが正解だったな、と思っています。

 

 

 

――そこから4店舗の展開に繋がったんですね。呉さんが教えるカットは、サスーンがベースなんでしょうか。

 

いいえ、いろんな先生の技術を学んできたので、それを踏まえた独自の技術でカリキュラムを作っています。サスーンは決まった形があって、そのための展開図がありますが、人頭はそれでは測れないというのが持論です。なので、型にはめず柔軟にできるように教えてます。うちの教育は最初の半年はウィッグを使うんですが、その目的はコーミングの仕方やスライスの取り方、まっすぐ切るなどのベーシックで経験を積んでもらうこと。手の形は左右でも違いますし、人それぞれ切る癖もあるので、それを修正するために10スタイルほどトレーニングして、それができたらモデルさんを呼ぶという流れにしています。技術を網羅した上で特化しないと受け入れられない時代なので、幅広い技術を教えてますね。

 

 

 

――DECOでは”髪質改善トリートメント”などの新しい試みも、業界でいち早くチャレンジしてきましたよね。

 

「サイエンスアクア」ですね。あれはメーカーさんからたまたま紹介していただいて、3ヵ月続けてみたら髪質がすごく変わったので、これは広めたいね、ということになって。若い世代のスタイリストたちがSNSで発信したんですが、急に髪の表面がツルツルになった写真を投稿し始めたので、当初は業界で冷やかされました。ですが、翌月から予約が止まらなくなったんですよ。今では人気メニューとして根付いています。

 

 

――呉さんは、どのくらいのペースでサロンワークしているんですか?

 

月曜日以外は毎日出てますよ。ほとんどのお客さまが長く通ってくださるリピーターの方ですが、最近は新規も取っていて。長く経験を積み重ねてきたことで、客層のグレードも上がってきているのを感じています。著名人の方がいきなり予約して来てくださることもあり、そういう出会いも嬉しいですね。

 

 

 

――外部での講師活動も含め、今後の目標などあれば教えてください。

 

たくさんの人に技術を教えていきたいという気持ちがあるので、一人でも多くの美容師さんに、仕事の楽しさも含めて伝えていきたいと思っています。定期的に教えているサロンが地方にありますが、8回コースでどれだけのことを教えられるか、というところにフォーカスして取り組んでいるところですね。また、SNSを通じて、世界中の美容師と繋がり、いずれは世界中を回って直接日本の美容の凄さを伝えに行きたいです。日本の美容は、本当に素晴らしいので。

 

プロフィール
呉 等至(くれひとし)/DECO代表
1978年、愛知県生まれ。山野美容専門学校卒業後、採用率20倍の難関を乗り越えて都内有名技術サロンに入社。3年半後に渡英してヴィダルサスーンで学んだのち、現地のサロンで働きながら雑誌やMVの現場でヘアメイクを経験。帰国後は都内1店舗を経て、2012年渋谷に『DECO』を出店。その後、表参道に『Rohe』、『Kurt』、埼玉・草加に『See』を出店。スタッフの技術教育に注力しながら、国内外でカット講師としても活躍中。SNS総フォロワー数42万人(2025年5月現在)。
Instagram:@deco_kure

 

(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)

 

 

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