一歩先をいくチャレンジで時代とともに進化し続けてきた
新型コロナウイルスの流行は、多くのサロン経営にも大きな影響を与えた。その一方で、比較的その影響が少なかったサロンもある。その一つが、デューアソシエが展開するデューポイントだ。
「デューポイントの店舗は、食品スーパーを核としたショッピングセンターの中にあります。このタイプの施設は緊急事態宣言中でも、平常時と同じか、それ以上の来店客数がありましたので、当店においても、それほどお客様が減ることはありませんでした」
と語る代表の日比谷美奈子。コロナ禍前から、オートシャンプーの導入を進めていた店舗もあり、これも来店客にとっては安心材料となった。
「以前から当店では、『サロンワークの効率化』をテーマにしていました。美容師が本来のサービスに集中できるように、サロンの受付や洗い流すためのシャンプー、会計などの作業は、できるだけテクノロジーを活用しようというものです」
常日頃からチャレンジをモットーとしていた同社の取り組みが、コロナ禍をきっかけに始まった新しい生活様式とも見事にマッチした結果だといえる。
見た目も心も晴れやかになれるコミュニティとしての美容室
同社がサロンワークの効率化にこだわるのには理由がある。
「美容師の仕事は接客業です。サロンに来ていただいたお客様には、見た目だけではなく気持ちも晴れやかになって帰っていただきたい。そのためにスタッフには、お客様と向き合う時間を大切に使ってもらいたいと考えています」
最先端の流行を追うだけでなく、老若男女を問わない幅広い層が気軽に立ち寄れるサロンと謳っている同店。視察に訪れるサロンオーナーから「デューポイントの姿勢は、福祉にも似たものがありますね」と言われることもあるとか。それぞれの店舗が、それぞれの地域に密着したサロン運営をすることで、単なる美容室ではなく、笑顔になれるコミュニティになっているのだという。
自分の軸を持つことが自分自身もお客様も幸せにする
「どんな新しい機器を取り入れても、それは手法が変わるだけで、美容師の本質が変わるわけではない」と話す日比谷。流行の変化やテクノロジーの進化など、変わっていくものが多いからこそ、これからを生き抜く美容師になるためには、「自分の軸を持つことが大切」だと話す。
「コロナ禍は、自分たちの原点を見直すいい機会にもなりました。常に変化を続ける世の中で生き残っていくためには、自分がどんな美容師になりたいのか、どう生きたいのかといった未来をしっかりと考え、自分で選択する力を身に付けておかなければなりません。そして、美容師がお客様を幸せにするためには、何よりも自分自身が幸せでなければならない。どんなときに自分が幸せを感じられるのかを知ることで、自然と自分が進む道も見えてくるはずです」
美容師としての喜びややりがいを素直に感じられる環境があれば、「ずっと美容師として働きたい」という気持ちにもなっていく。しかし業界的には、プライベートの環境の変化や将来のキャリアに悩んで美容師を辞めてしまう人も少なくない。
「当社では、結婚や出産などで、一度は現場を離れた美容師が再び働くきっかけづくりとして『ママスタ®』というサービスも提供しています。当店のスタッフに限らずママスタに登録することで、復職相談会や研修、オフ会などに参加していただくことができます」
その結果同店では、現在も三百名以上がママ美容師として活躍している。
「美容師のキャリアという点では、店長や独立を目指す以外にも、本部スタッフとしてコンサルタント的な職業に転身したり、グループが運営する美容学校の講師など、さまざまなキャリアが選べるのも当社ならではかもしれません」
誰もが夢を持って入ってくる美容の世界。その中で長く輝き続けていくためには、輝き続けられる環境に身を置くことも、大切な要素になりそうだ。
幅広い世代のスタッフが活躍
オートシャンプーを導入し手荒れも防 ぐ。
清潔感のある親しみやすい店舗設計。