原宿で19年間、最前線を駆け抜けた高木貴雄が選んだ次の舞台、代々木『Ii』。新卒を一気に3年目レベルへ!超集中型研修の秘密

原宿の人気サロンVeLO&vetica(ヴェロ・ベチカ)に19年間在籍し、デビュー後は同店の中核メンバーとして活躍してきた高木貴雄(たかぎたかお)さん。人気スタイリストたちと切磋琢磨しながら美容に全力投球してきましたが、今年4月に満を辞して独立。新天地に選んだのは、慣れ親しんだ原宿ではなく、その隣駅「代々木」です。店名は、『Ii(イー)』。新卒を採用し、オープン当日までに研修期間を設けるという新しい教育にも挑戦する高木さんに、原宿を離れた理由や『Ii』に込めた想い、理想の未来像について伺いました。
円満退社の裏側――「今しかない」と決断した独立
──まずは出店までの経緯について伺いたいと思うのですが、高木さんはいつ頃から独立を視野に?
最初から「いつかは自分の店を」と思っていて、社長にはそれを伝えて入社しました。僕は21歳のときVeLOに中途入社したんですが、25歳でスタイリストデビューしてからは、ありがたいことにお客さまにも順調に恵まれて。1年間まったく休みを取らずに働いた年もありましたね。33歳のときに独立しようと考えたのですが、ちょうど先輩の退社と重なってしまって。そこで僕まで抜けたらサロンに迷惑をかける状況だったので、残ることにしました。以来6年間、会社と話し合いを続けて、今年やっと独立が実現したという形です。

――年齢的にも、39歳というタイミングでしたね。
それが大きかったですね。39歳を迎え、体力的なことも考えると「これ以上は先伸ばしできないな」と思ったので、独立に踏み切りました。6年とどまったことで、会社の了承の上、新卒から育てた後輩スタイリストを一人連れてくることができました。円満退社したいと思っていたので、最終的にいい形で卒業することができたのは良かったです。
――何人体制でオープンされたんですか?
スタッフは、僕を含めて5人でスタートしました。アシスタントが3人、そのうち1人は僕のお客さまだった美容師です。他の2人はインスタで募集したんですが、DMをくれた全員の中から面接を突破した新卒なんですよ。卒業式から約1ヵ月間のトレーニングを設けて、4月24日のオープン日までにしっかり接客できるように、1日8時間集中的に研修したんです。一般的に、新卒は入社後に毎日1〜2時間練習すると思うんですが、その約5日分の練習量を1日で習得できる環境を作ったという訳です。なのでオープン時には、新卒アシスタントでありながら、すでに3年目のアシスタントの技術を持っている状態でスタートが切れました。

――それは画期的な試みでしたね! 高木さんにとっても前例のない取り組みだったのでは?
そうです。結果的には、うまくいったと思っています。研修期間中、みんなで輪になってここでランチを食べたり、いろんなことを話し合う時間があったことで、家族のような結束感が自然と芽生えたのも良かったなと思っていて。アシスタントの3人はインスタの募集を見て純粋な気持ちだけで手を挙げてくれたので、うちに入社したことを後悔させないように、給与などの条件面でも満足してもらえるように準備しました。
