月売上10万円からフォロワー23万人へ。”かきあげ前髪”でロング女子を魅了したフリーランス美容師・宮川勇人の次なる挑戦

東銀座駅から徒歩1分のSALOWIN銀座SUITE店で、今年4月からフリーランス美容師として活動をスタートした宮川勇人(みやがわゆうと)さん。都内の老舗有名店で16年間勤務し、店長も務めたのち、新しい働き方を求めて独立しました。カット料金は2万円超と高単価ながら、予約は常に満席。Instagramフォロワーは驚異の23万人超えで、ロングの「かきあげ前髪」という確固たるコンセプトで多くの女性から支持されています。しかしその裏側には、アシスタント6年、デビュー後も売上が伸びず苦しんだ20代など、決して順調とは言えない長い下積みの時代がありました。今回は、宮川さんが16年間のキャリアを通じて掴んだ転機、SNS戦略、そしてフリーランスとしての現在地とこれからの挑戦について、話を伺いました。
20代は苦悩の連続。デビュー以降も予約が埋まらず…
――新卒で老舗有名店に入社されていますが、そこは第一志望だったんですか?
そうです。ただ、補欠合格だったんですよ。繰り上げで運良く採用していただきました。「美容師になるなら表参道の有名店で働きたい」という思いが強く、いろいろなサロンを回ってそこに決めました。アシスタントを6年経験してデビューしましたが、初月売上は10万円ほど。そこから売れるまでの道のりも長く、30歳まではフロアに立っても、予約が埋まらない日々が続きました。

――当時は、どうやって集客に繋げていたんですか?
ヘアカタログなどの雑誌で集客していた時代が終わって、集客サイトを利用するサロンが増え始めていました。でも、僕が勤めていたサロンは、集客サイトを利用していなかったんですよね。だから若手スタイリストは、自力で集客するしかなくて。
街に出て客ハンもしてみましたが、それで指名が来たことは一度もなかったです。練習モデルとして来てくれていて、のちにお客さまになってくれた方が数人いたくらい。2週間まったく入客がない時期もあり、ブログを書いたり、思いつく限りのことをしましたね。「サロンを辞めたい」と思うこともありましたが、理由を深掘りすると「逃げ」しかなかったので、毎回踏みとどまっていました。

しばらくするとSNSが主流になり、僕もショートやボブなどを打ち出していましたが、今とは違って統一性がありませんでした。当時のフォロワーは、1万人にも届かず…。一方で、うまくSNSを活用していた後輩たちの予約はどんどん埋まっていくわけです。「自分の生活も豊かにしたい」と思い、まず1年でなんとか売上を50万円に。そこを達成するとフリー客を振ってもらえるシステムで、3ヵ月後には100万円に届きましたが、そのあとの2年間は伸び悩み、200万円の壁が越えられませんでした。