ポリシーは『前髪作るの断りません!』 前髪に悩む人の救世主になった、クロスパーマの生みの親 ZEST 加藤安弓美さん

 

生え際の割れ癖や浮き癖が強く、前髪を作りたくても作れない。他の美容室では難しいと断られてしまった。そんな人の救世主となっているのが、立川にあるZEST bis(ゼスト ビス)店でアートディレクターを務める加藤安弓美(かとうあゆみ)さんです。

お客さまからの要望をきっかけに編み出したという【クロスパーマ】は、生え際の強い癖を矯正し、髪をふんわりと下ろす技術。Instagramに投稿される超高難易度の施術動画には、前髪に悩む方からたくさんのコメントが寄せられています。

「前髪作るの断りません!」をポリシーに活躍する加藤さんは、どのようにしてクロスパーマの技術を確立させたのでしょうか? 今後の展望も合わせて、詳しくお話を伺いました。

 


 

ZESTに入るために美容師になった

 

 

─加藤さんが美容師を志したきっかけは?

 

私は高校生まで14年ほどサッカーをやっていて、生粋のスポーツ少女でした。髪の毛もずっと短くて、美容業界と一番縁遠いと言っても過言ではない学生だったんです(笑)。

そんな私にモデハンで声をかけてくれたのが、ZESTの美容師さんでした。当日は勇気が出なかったので、渡されたリーフを大事に持ち帰り、1週間後くらいに友達とお店の前まで行ってみることに。声をかけてくれた美容師さんがちょうどフロントにいて、私に気づいて「この前、声かけましたよね」と出てきてくれたんですよ。

少し話しただけの私を覚えてくれていたことに感動して、このサロンに通ってみようと思ったことが全ての始まりです。ZESTに通い出したら、人生で初めて「その髪いいね」と褒められるようになって、美容師っていいな、自分もこのお店で働きたいな、と思うようになりました。だから、私はZESTに入るために美容師になったんですよね。そこから20年、ZEST一筋でやってきました。

 

 

20年前の当時は、デビューまで5年以上かかる人も多い時代でした。その一方でZESTは、その時代では珍しいかなりスピード感のある教育カリキュラムで。入社2カ月後にはカットレッスンが始まり、早い人は1年半から2年ほどでスタイリストデビューできる仕組みがあったんです。実際、私も3年半ほどでスタイリストになりました。

しかも、デビュー前から営業時間中にモデルカットができて、売上が目標を達成したタイミングでスタイリストデビューという形だったので、実際にお客さまのヘアを担当させていただき始めたのはもっと早いタイミングだったんですよね。

 

─想定していた以上に、順調に進んでいたのでしょうか?

 

そうですね、自分が思っていた以上に早いスピードで進んでいきました。それゆえに戸惑ったことも、気持ちが追いつかなかった時期もあります。まだ未熟な状態でお客さまを掛け持つ難しさや、後輩に仕事を任せて、納得のいくクオリティにならなかったときの葛藤に、上手く折り合いをつけられるようになるまでは辛かったですね。

 

 

実際、サロンワークにおいてもアシスタントに仕事を任せる時は、信頼はしても丸投げはしないようにしています。信じて任せているので、頼んだ仕事は見守りますが、仕上げは必ず自分でチェックする。お客さまを不安にさせないことも料金の中に入っていると思っているので、どうしても心配なところは、別のお客さまを待たせてでも自分が入るようにしています。

 

クロスパーマは、知る人ぞ知る裏メニューだった

 

 

─加藤さんの代名詞になっているクロスパーマは、いつ頃から始めたものですか?

 

初めて施術したのは、今から13年前。スタイリストになってしばらく経ち、売上も安定してきた頃です。実はこのメニューは、お客さまからどうしてもと言われ、渋々始めたものなんですよ。

前髪の割れ癖に悩んでいたお客さまから「美容師さんは反対側に引っ張りながら乾かせって言うけど、そうやったところで癖は直らない。それなら、引っ張った状態で矯正をかけてほしい」と言われて。強い癖を薬剤で伸ばすのはリスクがありますし、前髪なんて一番目立つのに、折れたり千切れたりしたら取り返しがつきません。しっかり説明してお断りしたのですが「失敗してもいいからやってほしい」と…。

今となっては、それくらい悩まれていたのだろうなと分かりますが、当時は戦々恐々としながら施術に臨みました(苦笑)。でもそれが、思いのほか上手くいったんです。

 

 
 
 
 
 
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加藤 安弓美 クロスパーマ日本マニュアル考案者(@ayumizest)がシェアした投稿

 

─サロンワークの中で生まれ、磨かれてきたものだったんですね。

 

本当にその通りです。前髪や生え際がぱっくり割れているウィッグなんてないので、クロスパーマは、実際にお客さまに施術する以外に試す方法がないんですよ。なので、お悩みがあるお客さまに協力してもらいながら、探り探りで技術を確立していきました。

最初は、噂を聞きつけた方や常連の方から「こういうメニューがあるって聞いたんですけど」とお願いされてやる、裏メニューみたいな感じでしたね(笑)。徐々に口コミで広がり、少しずつお客さまが増えていった形です。

 

 

クロスパーマの認知が一気に広まったのは、やはりSNSの影響が大きいですね。実は数年前まで、SNSは一切やっていなかったんです。でも、当時アシスタントについてくれていた2年目の子から「あゆみさん、なんでSNSやらないんですか? 絶対やった方がいいですよ」とちょっと強めに言われて(笑)。じゃあやるか、と思って始めました。

とは言っても、最初の頃はクロスパーマにここまで需要があると思っていなかったので、髪質改善やメンズヘアなど、いろいろなスタイルを発信していたんです。でも2年くらい鳴かず飛ばずで。試しにクロスパーマの動画を上げたら、それが1発目でバズったんですよね。確か、2023年頃だったと思います。

 

そこからは、全国各地からお客さまがいらっしゃるように。昨日数えてみたら、これまでに1万人弱のお客さまに施術させてもらっていました。ありがたい限りですし、SNSを始めるきっかけをくれた後輩にも本当に感謝しています。

 

>初めて、美容師を辞めようと思った

 

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