丸みショートの旗手が語る“8年の下積み”と独立の真実──銀座・麻布十番3店舗を率いるaRietta代表・馬場義隆の仕事哲学

 

独立を決めるまでの思考と、銀座での再スタート

 

――独立を意識した背景にはどんな理由があったのでしょうか。

 

ひと昔前に第一線だった人たちが徐々にパワーダウンしていく姿を見て、危機感を覚えたんです。時代の変化と共に、これまでの当たり前が通用しない時がきます。自分の技術を広げたいという気持ちと、組織の中でどのように成長できるのかというキャリアの両立を考えたとき、自分が力を発揮できる場所は”自分でつくる”必要があると感じ始めたんです。それが独立を意識したきっかけでした。でも、すぐに独立するのは難しかったので、まずは準備期間を設けようと。これまでのサロンとはまた違ったタイプのサロンに勤務して、知見を広げておきたかったんです。






――それで表参道から銀座へ拠点を移したんですね。

 

環境を大きく変えたいと考えていました。もともとコンサバ層のスタイルを多く担当してきたので、そのテイストを求めるお客さまが多い銀座とは相性が良いはずだと感じたんです。次に勤務したサロンは集客サイトを積極的に活用していたこともあり、フリー客に恵まれた環境でした。新規顧客が月100名ほど入り、現場のスタイリストは人手が足りないくらい多忙で、毎日が本当に濃密でしたね。ほとんど休みなく働きながらスタイル撮影にも力を入れたことで指名も増え、「独立してもやっていける」という確かな手応えにつながりました。





――独立のタイミングは最初から決めていたんですか?

 

銀座に移った時点で、”3年で出店”と決めていました。期限を設けると判断や動き方が明確になりますよね。場所選び、スタッフ構成、世界観まで計画的に進められました。またプレイングオーナーが現場の第一線で活躍しているサロンと、オーナーが完全に経営に徹しているサロン、その両方を見られたことも収穫だったと思います。僕はその中間バランスが理想だと気づきました。






個室サロンの設計思想と“自由に伸びる”ブランドづくり

 

――2014年、銀座に『aRietta』を立ち上げました。半個室のサロンにした理由は?

 

一人のお客さまに丁寧に向き合える環境をつくりたかったからです。施術に集中できる空間は、技術の精度にも影響します。スタッフ5人でのスタートでしたが、早い段階で「やりたい技術を尊重する」ことを方針にしました。




2017年には、麻布十番に2店舗目をオープン。髪質改善と韓国系に特化したサロンです。2020年には、1号店と同じビル内に3店舗目を出店。半個室のサロン空間は、コロナ禍にはお客さまからもとても好評でした。





ーー現在、スタッフは25人に増えました。多様なスタイル志向の中で、「やりたい技術を尊重する」とはどういうことでしょうか。

 

強制的に同じ型にはめず、得意分野を起点にキャリアを組み立てられるようにしています。すべての技術に合格してからデビューではなく、ショートが得意ならショート、メンズが得意ならメンズからデビューできる仕組みです。実際、2年目にはすぐデビューし、売上をつくれるスタッフが増えています。強みを軸にする文化は、モチベーションの向上にもつながっていますね。

 

カリキュラムについても、必要性の低い項目は極力減らし、カットラインや量感設計といった“土台となる技術”に時間を使います。特にショートは、構造の理解が甘いと再現性が出ないため、技術の根拠を言語化しながらの指導が必要です。

 

現在、銀座の『aRietta2』はメンズ特化サロンとして展開しているのですが、メンズが得意なスタッフが増えたことで自然と需要が高まり、その流れを受けて生まれた形なんです。銀座はメンズサロンの競合が少なく、20代のお客さまが予想以上に来店してくださっているのは嬉しい驚きでした。






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