逆張りで勝ち続ける。Beleza石原彩江さんが「暗髪レイヤー」で切り拓いた独自のポジション#Z世代のスター発掘
SNSとハイトーンで突き抜けるべくBelezaに参加

当時は、若手美容師のインスタグラムがちょうど盛り上がり始めた頃でした。一方で、私が在籍していたサロンは歴史のある有名店ということもあり、SNSに頼らなくてもお客さまが来てくださる環境。だからこそ、SNSにそこまで力を入れているスタッフは多くなかったんです。でも、自分のこれからを考えたときに、インスタにもっと本気で向き合い、発信力も高めていきたいと思うようになりました。
それなら、すでにバズを生み出しているスタッフが多く在籍する、勢いのある環境に身を置いたほうがいいのではないかと考えるようになって。加えて、当時のサロンではなかなかできなかったハイトーン技術をもっと学びたいという気持ちもありましたね。SNSとハイトーン、その両方を高いレベルで追求できる場所として、Belezaへ行くことを決めました。

ただ、Belezaに移ってすぐに挫折を感じました。想像以上に周りのレベルが高くて、ハイトーンの技術も、発信力も、売上も、すべてが自分より上。私は空いている時間も多く、売れているスタイリストのサポートに回ることがほとんどでした。「人の手伝いをしにここに来たわけじゃないのにな…」と、悔しさでいっぱいでしたね。それでも、自分で選んだ道だからこそ、ここで諦めたくはなかった。気持ちを切り替えて、インスタに本気で力を入れ始めたんです。
「逆張り」と「継続」で、ある日インスタが大バズり

まず取り組んだのが、打ち出しの見直しです。ハイトーンを極めたいと思ってBelezaに来たものの、この環境で同じ土俵に立っても勝てないと感じて。だったら、もともと得意としていたレイヤーやカットで勝負しようと考えました。そこで打ち出したのが、「暗髪レイヤー」です。今から5年ほど前のことですが、当時は暗めの髪色でレイヤースタイルを発信している人がまだ少なくて。さらに、ハイトーンが主流のBelezaの中であえて違うことを打ち出すことで、目に留まりやすくなるのではないかという狙いもありました。
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そして、バズっている美容師の投稿を徹底的に研究しました。画角や撮り方、髪の巻き方はもちろん、投稿する時間帯やハッシュタグの付け方まで細かく分析して、自分なりに落とし込んでいく。それを毎日、2年くらい継続していきました。すると、ある日投稿したリールがバズって、フォロワーが一気に増えたんです。Belezaに移った当初は4,000人ほどだったのが、ある朝起きたら1万人に。その後も3万人に届く頃に再びバズが起きて、フォロワーはさらに増えていきました。以来、打ち出しは変えず、一貫して「暗髪レイヤー」で発信し続けています。
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私のスタイルは、韓国系をベースにしていますが、トレンドど真ん中というわけでもなく、かといってコンサバにも寄りすぎるわけでもない。この絶妙なバランス感を求めるお客さまが多かったのかなと感じます。フォロワーの増加に伴ってお客さまも一気に増えて、予約枠は常にいっぱいの状態に。 当日予約もどんどん入るようになって、それまで経験したことのない忙しさでした。当時はまだアシスタントもついていなかったので、「これをどうやって回せばいいんだろう」と、毎日軽いパニック状態(笑)。先にインスタが伸びてくれたことで、自分自身も引き上げてもらった感覚がありましたね。
それでも、不思議と不安はあまりなかったんです。前社で積み重ねてきた基礎があったので、「絶対にお客さまを満足させられる」という自信はありましたし、リピートしていただける手応えも感じていました。
もちろん大変でしたが、その分、学ぶこともすごく多くて。限られた時間の中でどうクオリティを保つか、どうすればお客さまにまた来たいと思っていただけるかを、常に考えるようになりました。この時期の経験が、今の自分の土台になっていると思います。

私の強みは、技術はもちろんですが、それ以上に「粘り強さ」や「続ける力」だと思っています。いい意味で、少し“こじらせている”というか(笑)、一度決めたことは絶対に諦めないタイプなんです。環境のせいにせず、どんな状況でもやり切る。その姿勢は、自分の中で大きな武器になっています。
そして、あえて周りと違う選択をすること。「逆張り」というか、常に自分なりのポジションを取りにいくことを意識してきました。実際に結果を出すことができたからこそ思うのは、もし周りと似たようなことをしていたら、おそらく埋もれてしまっていたかもしれません。だからこそ今も、自分が活きる場所を選びながら、挑戦を続けていきたいと考えています。
次のステージは、自分で作り上げる新ブランド

次の私の挑戦は、独立です。もともと独立願望はありましたが、Belezaは若い世代がどんどん伸びていくサロン。だからこそ、「この環境にずっといるわけではないな」と感じたことも、独立を具体的に意識するようになったきっかけのひとつでした。自分の年齢やこれからのキャリアを考えたときに、同じ方向を向いている仲間と、自分たちのサロンをつくりたいと思うようになったんです。

目指しているのは、表参道に上質で洗練されたサロンを出すこと。自分の好きなテイストを軸にしながら、長く通っていただけるようなブランドをつくりたいと考えています。ありがたいことに、これまで一緒に働いてきたアシスタントたちも「一緒にやりたい」と言ってくれていて、今は物件探しと並行して、仲間集めや教育の準備を進めているところです。オープンは年内を予定していて、タイミングが合えば夏頃になるかもしれません。
サロンを立ち上げた後も、プレイヤーとして第一線に立ち続けたいです。まだ27歳なので、技術的にも美容師としても、もっと上を目指していきたい。その一方で、後輩の育成にも力を入れていきたいと思っています。たとえ将来、結婚や出産などで現場を離れるタイミングが来たとしても、しっかりと次の世代が育っている——そんな環境をつくるのが理想です。
5年以内には、多くの方に認知されるブランドへと成長させることを目標に、これからも自分らしく、がむしゃらに走り続けていきたいと思います。

- プロフィール
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Beleza scelto
クリエイティブディレクター/
石原彩江
岡山県出身。中学校卒業後すぐに姫路理容美容専門学校に入学し、美容師の道へ。新卒で表参道のトップサロンに入社し、スタイリストデビュー。2021年にBelezaへ移籍。「暗髪レイヤー」を武器にInstagramを発信し、フォロワー数を4,000人から約7.5万人まで伸ばす。韓国スタイルをベースにしたレイヤーカットの似合わせに定評があり、同世代の女性から多くの支持を集める。今夏、自身のサロンである「Valoné Tokyo(ヴァロネ トーキョー)」をオープン予定。
Instagram:sae__ishihara
(文/富樫聡美 撮影/菊池麻美)
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