「努力するな」「数字を追うな」「生まれ変われ」──韓国ヘア・ワンホンで支持を集める美容師・ikiみつゆを変えたコトダマ

 

第一線で活躍する美容師たちの人生を変えた「言葉」に迫る連載企画「美容師のコトダマ」。今回は、韓国ブームやワンホンスタイルの波をいち早く捉え、多くのインフルエンサーから支持を集めるiki(イキ)みつゆさん。「努力するな」「数字を追うな」「生まれ変われ」──。
キャリアの節目で出会った言葉の数々が、迷いや中途半端な自分を打ち砕き、覚悟を決めるきっかけになってきました。

一度決めたらゼロから作り上げる強さと、確かな研究に裏打ちされたデザイン、そしてお客さまを自然と笑顔にする人間力。それらを形づくってきた“コトダマ”とは何なのか。みつゆさんの軌跡をたどりながら、その背景を紐解いていきます。

 


 

結果を出せない美容学校生へ放たれた「努力をするな」

 

 

美容師になると決めたのは高校時代。関西の進学校で大学進学が当たり前の環境の中、あえてその流れに逆らう選択でした。母は自分が思うようにやりなさいと背中を押してくれましたが、その分「やるからには絶対東京で有名美容師になってやる!」という覚悟で美容学校に入学しました。

 

美容学校に入ってからは、朝練はもちろん、夜も学校が閉まるまで練習漬け。周りから見ても、超がつくほど勤勉な学生だったと思います。ただ、自分なりにやりきっているつもりでも、結果はついてこない。コンテストやワインディングのランキングでも、今一つ成果を残せずにいました。

 

 

そんなとき、担任の小谷先生に言われたのが「努力するな」という一言でした。正直、最初は「この人何を言っているの?」と思いました。でもそれは、「こんなに頑張っているのに結果が出ない」と、どこかで拗ねていた自分を見透かされた言葉でした。

“努力している”と思っているうちは、真の意味でやり切れていない。本当にやっている人は、夢中で、当たり前のように続けているし、なんなら楽しんでいるもの。先生は、それを伝えようとしてくれていたんです。

 

その言葉でパチンとスイッチが入って、まずそれまでやっていた“努力”を、意識的に “ルーティーン”に変えました。周りから見れば「あいつ、めっちゃやってるやん」と思われていたかもしれませんが、自分にとってはやって当たり前の習慣。そうなると、「じゃあ家に帰ってからも少しやろうか」と自然にプラスアルファが積み重なっていく。さらに「練習は楽しいからやっているんだ」という“フリ”をすることにしました。初めは自分に楽しいと言い聞かせてやっていたんですけど、不思議なものでそのうちだんだんと本当に楽しくなってくるんです。

 

 

振り返ると、“努力している”と思っていた頃は、「こんなにやっているのに結果が出ない自分はダメなんじゃないか」と、自分で自分のメンタルを削っていました。それが変わってからは、コンテストでも成績でも結果が出始め、さらに楽しくなるといういい循環に入っていきました。

 

コンテストに向けて小谷先生に「どうですか!」とウイッグを見せにいくと、ろくに見もせず「まだや!もっかいやってこい!」とつっかえされたりしていて、当時はずいぶん体育会系な先生だと思っていました。でも今自分が教育をする立場になって思い返すと、僕はそのやり方で火がつくタイプとわかっていて、あえてやってくれていたんだなと思うんです。あの一言と指導がなければ、今の自分はなかったと思います。

 

>94年組美容師仲間の言葉「数字を追うな」

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング