siki 磯田基徳さんのびよう道〜「感謝」を忘れないこと。接客業でもある美容師は”人間性”が全て〜

『siki』を出店。山あり谷あり、少しずつ進んできた

 


29歳のときに独立して『siki』を立ち上げましたが、当初は「イケてるヘアを作りたい」とか、「かっこいいチームでいたい」という気持ちだけだったんです。でも流行りのサロンで終わらせたくなかったので、「実力のあるサロン」になることを目指してコンテストに力を入れてきました。

 

僕はコンテストがすごく好きなんですけど、とくに忘れられないのは2019年の10月にマリンメッセ福岡で開催された「ABC(アジアビューティコングレス)」です。「夢は親孝行」と言っていた入社1年目のスタッフが、そこでグランプリを取ったんですよ。そのときに会場に親御さんが来ていて、まさに親孝行の夢がひとつ叶って。みんなで喜びを共有しましたが、コンテストにはそういう美しさがあるんです。

 

僕はそのABCのヘアショーのステージにも立たせてもらったんですが、そこに師匠の小谷さんもいたんですね。僕にとっては雲の上すぎる人なのに、同じ土俵に立てたことは感激でしたし、小谷さんも喜んでくれて。「自分がやってきたことは間違ってなかったな」としみじみ思えた瞬間でした。なので、あのコンテストは忘れられない思い出になっています。

 

 

経営面では、僕があまりに無知すぎて大変な時期もありました。2020年のコロナ元年、4月に大宮店をオープンしたら緊急事態宣言に見舞われて。地方から10人スタッフを雇って、数千万の借金をしていた状態だったんです。呆然としましたけど、ありがたいことに6月には黒字化して、その年は3店舗を出店しました。OEMの発売やオンラインサロンの立ち上げもしたので、今思うと「よくやったな」と思います(笑)。

 


現代に必要な“自分らしさ”は作品の中にヒントがある

 


今年『siki』は6周年を迎えます。神奈川や静岡にもお店ができて、グループの総スタッフは70人規模になりました。ここ1年で各店舗の店長も育ち、僕がいなくても大丈夫だと思えるくらい優秀な仕事をしてくれています。嬉しいのは、『siki』の文化がつくれたこと。「感謝を忘れるな」「謙虚でいよう」「自分のためだけじゃなく人のためにも頑張ろう」ということをずっと伝えてきて、それが全体に根を張ってきたのを感じています。

 

 

僕は長所を褒めて伸ばす教育が好きなので、『siki』では入社1年目から毎月スタイルを発表するオーディションをして、みんなの得意ジャンルを引き出す教育をしてきました。今は”個”の時代で、少し尖っている部分がないと人の心に刺さらないですよね。でも、”自分らしいスタイル“というのは、なかなか分からないじゃないですか。僕も若い頃はそれが分からなくて、ただ無我夢中にスタイルを作っていました。でも、前述の8ページ特集のときに「前髪重め」「ゆるふわカール」というキャッチフレーズがついたのを見て、初めて自分らしいスタイルに気づけたんです。


だから、考える前にとにかくスタイルを作ってアウトプットさせています。そうすると3〜4ヵ月経った頃に「カールヘア」「ボブ」「ハイトーン」など特徴が見えてくる。そこから強みを見つけて戦略を立て、コンテストに繋げているんです。

 

 

>“やらされている感”を出さずに、何でもやってみよう

 

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