“脱ヘアデザイン至上主義”が美容室飽和時代の必勝法 -Simple idea/Rアイディア株式会社-

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美容家であり、写真家であり、ドローン技師でもある竹澤陽(たけざわよう)さん。彼が代表を務める株式会社ハイポジションでは、オーソドックスなヘアサロンに加えて、恵比寿・銀座にヘッドスパ専門店を展開。オリジナルヘアケア商品の企画販売もおこなっています。今回は、従来の美容の枠組みを悠々と飛び越え、多彩なビジネスを生み出してきたアイデアマンの独立・経営論に迫りました。

 


 ヴィダル・サスーンでヘアデザインの天才たちに出会う

 

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「美容の世界の頂を見てみたい」。僕は若い頃、そんな気持ちを抱いていました。現在も美容室オーナーをしている私の母が、海外事情に詳しい方と知り合いで、「カットを学ぶならロンドンのヴィダルサスーンだよ」と教えてもらったんです。

 

日本で修行後渡英し、2年弱ヴィダルサスーン・アカデミーに通いました。そこで出会った仲間がすごく強烈で、たとえば今世界で活躍しているMASA HONDAさんなど、キラ星のような人たちばかりだったんです。その頃の仲間は今、美容の世界で大きく羽ばたいています。24歳、25歳という吸収力のある時期に、ロンドンで過ごせて本当によかった。もちろん、当時の仲間たちとは今もつながっています。

 

一方で、才能あふれる仲間たちを見て、「ヘアデザインの探求は彼らに任せよう」という気持ちも湧きました。といっても、決してデザインを軽視するわけではありません。お客さまに寄り添い、感動を提供する方法を自分なりに模索していこうと決意したんです。

 

帰国後、母親の経営するサロンで世話になりました。1年半ほどしたころ、「恵比寿に居抜き物件が出るのでやりませんか?」という話が舞い込んでいきました。聞けば、前オーナーが故郷に帰るので誰かに場所を譲りたいとのこと。恵比寿には縁もゆかりもなかったのですが、チャンスかもしれないと思って引き受けました。

 

不思議な巡り合わせでサロンオーナーになり、サービス内容も価格も自分で決められるようになると、シャンプーマン時代からずっと抱えていた疑問が大きくなりました。お客さまがシャンプーマンにだけする質問があります。それは、「髪、大丈夫かな?」です。それに対してアシスタントは、「全然大丈夫ですよ」と答えます。専門知識がないから、そうとしか言えないわけです。決して大丈夫じゃなくても。

 

AGAクリニック、ヘッドスパ専門店を立ち上げたわけ

 

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多くの美容師が、お客さまの髪の悩みや心配を、「大丈夫です」と言って受け流してきました。実際には、半年くらいで毛量が減り、2年、3年経ったころには深刻な状態になる人もいます。早めに手を打てば、軽減できたのかもしれないのに…。

 

そんな想いで悶々としていたころ、厚生労働省が認可するフィナステリドを主成分とするプロペシアという発毛薬が登場しました。それを受けて僕は9年前、医師、看護師、美容部員を雇って、銀座にAGA専門クリニックを設立。美容師がクリニックを開設するなんて、前代未聞の話だったと思います。そこで発毛を促す医薬品を使ったシャンプー「メディカルヘッドスパ」を生み出したんです。

 

AGAに悩む人の声を集めるといろんなことが分かりました。とくに、ふさふさの毛が少しずつ減る恐怖というのは相当なもので、「歩いているときの衝撃で毛が抜けないか心配」という人もいるんです。髪の悩みというのは、それだけ強烈ということ。毎朝鏡を見るのが憂鬱で、灰色の世界を生きる人もいるのです。

 

AGAクリニックはその後医師に譲りましたが、7年前にクリニックを経営した経験を生かしてヘッドスパ専門店を立ち上げました。提供するのは、髪のプロである美容師の手で、頭皮環境を改善する独自理論のヘッドスパです。

 

ヘッドスパで血行促進すれば、脳細胞に栄養が行き渡り、脳活性につながります。温かいお湯で神経を解きほぐしながらマッサージすれば疲労も軽減できます。頭皮環境がよくなり髪の毛が元気になるなど明るい兆しが出てくると、お客さまの表情が変わります。ヘアデザインとはまた違った感動を与えることができるのです。

 

>原動力は「感動」

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