ドールメイクの生みの親!  ヘアメイク 双木昭夫さんに聞く、切り開く美容仕事力

自分に付加価値をつけることの大切さ

 

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-双木さんのお仕事道具を見ていると、鏡だったり、ケープだったり、手作りのものがたくさんありますが、いつからそういったものを作るようになったんですか?

 

この鏡、可愛いでしょ。ヘアアクセサリーも車にいっぱい積んであるし、衣装も撮影小物もなんでも作っちゃいます。昔から可愛いものをつくるのが好きなので、せっせと作っていました。でも、本格的に作るようになったのは、『ドールメイクがメジャーなものになってしまった』からでしょうね。

 

私が生み出したドールメイクですが、テクニック的に難しいことをするわけではないので、今ではいろいろなヘアメイクさんもやるようになってしまったんです。美容師もヘアメイクも同じだと思うんですが、ある程度の経験を積んだ人なら、技術的には差はさほどありません。同じような技術力を持つヘアメイクさんとの競争に勝ち抜くためにはどうしたらいいのか。それは、自分自身に付加価値をつけることなんです

 

-付加価値ですか?

 

私の場合は、手作りのヘアアクセサリーだったり、衣装だったり、撮影小物だったり…。もともと、自分の世界観をより深めるために作っていたのですが、それが自分にとっての付加価値となって、ほかのヘアメイクさんとの差別化が図られるようになりました

 

-実際に、そこからお仕事が広がっていることもあると感じますか?

 

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双木さんに仕事を頼むと、ヘアアクセサリーがたくさんついてくるよ。洋服のスタイリストがつけられない撮影の時には、衣装のスタイリングもしてくれるよ。撮影小物も揃っているよ。編集の人にそう思ってもらえたら、しめたもの。今では編集さんの方から、「双木さん、あの背景持っていたよね?」「あの鏡、使わせてよ」と言ってもらえるようになりました。そういう付加価値があるからこそ、ほかの出版社からも声がかかると思うので、そういった意味では仕事が広がっていると感じますね。

 

-双木さんは、自費で『なまいきリボン わがままレース』という本を出されていますが、自費出版で本を出したのはなぜですか?

 

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今は未曾有の出版不況で、雑誌がどんどん廃刊になってしまいます。このままでは自分のフィールドがなくなってしまう。それなら自分で作っちゃおうということで作ったのが『なまいきリボン わがままレース』です。自分で作っているので、好きな世界観を存分に発揮できるし、この本を持っていけば世界観をプレゼンもできる。実際に、『わがままリボン』を見た編集の方から、こういう企画をやりたい! という仕事の依頼がきましたし、撮りためていた写真で出版社から本を出すこともできました。

 

-人気ヘアメイクさんになっても、常に進化し続けているんですね。

 

30歳までバイトをして暮らしていたということもあって、仕事に対する危機意識が強いのかもしれません。今の居場所がすぐになくなってもおかしくない、私の代わりがすぐ出てきてもおかしくない。移り変わりが激しい世の中なので、なにもしないとどんどんジリ貧になっていってしまいます。だからこそ、自分のフィールドは自分で守る。そのためには自分に付加価値をつけたり、フィールドを自分で作ることが必要だなと思っています。

 

-最後に自分の居場所、働き方に悩んでいる美容師さんにメッセージをお願いできますか?

 

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そうですね。自分の土壌で勝負するってことですかね。青山や原宿で美容師をやってNO.1になるのはもちろん、カッコいいです。でも、あえて激戦区で勝負しないっていう選択肢もあるんじゃないかと思います。『ここだ!』っていう自分ならではの場所を見つけて、そこでじっくりと勝負していく。

たとえば、巣鴨でおばあちゃん、おじいちゃん専門の美容室をやるとかね。青山や原宿で美容師していた人が、老人専門の美容師を開いたらウケるんじゃないかなと思います。

 

あ、でも、このアイデア、私が将来やりたいから、やっぱり書かないで(笑)

 

プロフィール
ヘアメイクアップアーティスト/双木 昭夫(なみき あきお)

美容室に勤務後、有名メイクアップ事務所でのアシスタントを経て、1990年にフリーに。メイクをすればするほど可愛くなれる独自の「ドールメイク」が評判で、タレントからの指名も多い。著書に『童話の国のドールメイク』(宝島社刊)などがある。自費で出版する『なまいきリボンわがままレース VOL.4』が現在発売中。アマゾンのほかヴィレッジバンガードやラフォーレ原宿で購入可能。

 

(取材・文/池山 章子 写真/泉山美代子)

 

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