ヴィダルサスーンとは真逆の技術にあえてトライ「TONI&GUY LONDON」でよりクリエイティブな道へ 第二部

パーソナリティの向上という新しい課題

 

 

6週間の研修期間を終え、目指していた特待生にも選ばれ、得意顔でサロンに戻りました。すぐにシニアスタイリストに昇格し、ロンドンファッションウィークのオーディションも受けに行って、それもパスすることができました。

 

ロンドンファッションウィーク舞台裏

 

最初にロンドンファッションウィークに参加したときは、うれしくて。アドレナリンが出まくって、当時のことを思い出そうとしても、何をどうしたのか、まったく覚えていません。迷惑をかけまくっていたと思います(笑)。今は、パリやイタリアのファッションウィークにも参加して経験をつみ、ファッションショーを楽しむ心の余裕もでてきました。世界のトップブランドと一流美容師と一緒にクリエイティブな仕事ができるのは、とても刺激的です。

 

その後は、サロンワークにも力を入れるようになりました。当時私は、レベルの高い教育を受け、技術力を売りにしているので、それを発揮することが、お客さまのためになると思っていました。でも、お客さまからの支持を得るには、それだけではだめでした。

 

KIKOさん作品

 

お客さまがつかなくて伸び悩んでいるとき、オーナーから「あなたはもう技術はできている。お客さまを得たいなら、パーソナリティを磨くべきだ」とアドバイスを受けました。そこで、「私のパーソナリティとは何か」という新しい課題へ向かうことになりました。

 

そこで、お客さまとの会話を恐れている自分に気づきました。英語で失礼なことを言っていたらどうしよう、と臆病になっていたのです。そんな自分を変えたいと思い、積極的に、何が好きか、美容師としての夢、休日に行った場所など自分自身のことを、何でも話すようにしました。するとだんだん自分のパーソナリティを知ってもらうことができ、指名が増え、数カ月後には、お客さまの指名・売り上げ、プロダクトセールもトップになることができました。

 

個性を発揮することを怖がらず、一歩前へ!

 

これまでのあらゆる経験から、一流の美容師になるには、技術だけではなく、まず自分自身を知り、表現していくことが大事だと学びました。

 

表参道でのショーの様子

 

先日は、東京でステージに立ってショーを行いましたが、そうしたときもまず、自分自身を知らないとうまく表現できません。ロンドンは個性が強い人が多いので、その中で個性を発揮することが素晴らしいとされていますが、、日本では他の人とちょっと違うだけで変な目で見られてしまいます。そうした環境にいると表現することに臆病になってしまいますが、勇気を出して一歩踏み出してみると、得られるものも大きいと思います。

 

 

ステージをつくりあげる際にも、共演したDAVID(元ヴィダルサスーントップディレクター)と、「伝えたいことは、アイデンティティ、個性だよね」と話し合いそれをテーマにステージを展開しました。

 

イギリスでは美容師はアーティスト。日本でも、もっと美容師がアーティスト性を発揮できるようになるといいなと思っています。そのためにも、私がイギリスで経験したことを、これからも伝えていけたらいいなと思っています。視野を広く世界に向けてみると、美容師という仕事がもっと楽しくなっていくのではないでしょうか。

 

プロフィール
TONI&GUY LONDON
KIKO


京都府出身。資生堂美容専門学校入学後、ヴィダルサスーン・アカデミーで学ぶために単身渡英。そののち、TONI&GUY LONDONにてサロンエデュケーター、シニアスタイリストとして活躍し、アートチームのメンバーとして、ロンドンファッションウィークなども経験。現在はイギリスのTONI&GUYに所属しながら、自身のこれまでの海外経験を伝えるため、日本にで、カットショーなどにも積極的に出演している。

 

 

(文/揚石圭子  撮影/泉山美代子)

 

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