遅刻に二日酔いは当たり前・・・“落ちこぼれ仲間”だった若手時代からサロンオーナーになった二人のサロン&スタイル作りに迫る！SHACHU×Linerスペシャルインタビュー! 【前編】
デビュー後、一躍スターになった伊藤さん。一方みやちさんは……
―デビューは伊藤さんの方が先に？
伊藤 はい。でも、僕は遅い方で5年目にデビューしました。
みやち 伊藤さんはデビューして他の店舗に移動したのですが、そこからの活躍がすごいですよね。
―仕事より遊びだった伊藤さんが変わったきっかけがあったんでしょうか？
伊藤 はい、ありましたね。落ちこぼれだった僕に、師匠がスポットを当ててくださって、直接指導を受けた時期があったんです。それまで遊びが8〜9割だった脳が逆転して、仕事10割になりました。休みもなく毎日モデハンしてヘアを作って……ということを繰り返して。今まで仕事が嫌だったり、うまく向き合えなかったりしたことがうそのように仕事しか見えない“ゾーン”に入りました。25〜28歳までは、とにかく仕事しかしていませんでしたね。
みやち そんな伊藤さんを見ていると、どこか遠くの存在になってしまったな、と、僕は寂しかったですね。誰にも言いませんでしたが……。
僕も伊藤さんの1年後にデビューしたのですが、デビュー後も暗黒時代が続きました。とにかく売上がないので、3つも下の後輩と予約をシェアしなきゃいけなかったり、自分もスタイリストなのに、売れっ子スタイリストのメインアシスタントをしていたんですよ。でも、結果が出せない以上、何も言えません。伊藤さんから見て、当時の俺ってどうでしたか？
伊藤 会うたびに痩せていくし、僕の目をまったく見なくなったので、「大丈夫か？」って思ってたよ。うまくいってない時って、周りの人を敬遠してしまうから、人懐っこいみやちらしくないなって。でも、実績を伸ばせないでいることも知っていたから、変な言葉もかけられないし、この頃はちょっと距離があったよね。
みやち そりゃあ目を合わせられないよ！ スタッフ同士、美容師同士集まるとどうしても売上の話になるけど、自分は入っていけないし、周りも「みやちいるし……」って気を遣うから気まずい（笑）。だから、俺は今でも結果が出なかったり悩んでいるスタッフに対しては、煽るようなことは言わないようにしてます。焦ってもしょうがないからね。
退社した時も、俺の月の売上は30万円くらいでしたからね。伊藤さんと自信を持って話すことができるようになったのって、SHACHUが軌道に乗ってからのことですよ。独立するのは、銀行からお金を借りれば誰でもできるけど、結果を出すことはまた別ですから。
独立して成功したみやちさんを見て、負い目を感じたことも……
―みやちさんが、独立すると聞いた時はどうでしたか？
伊藤 「売れてないのに独立するなんてありえないよ」っていう人は多かったけど、僕は相談を受けたときに、「いいんじゃない」っていう話をしたんだよね。ただ、創業計画書を見せてもらったら、それが手書きの汚い字で（笑）。その時は心配しましたね。
でもね、僕は僕で独立して成功したみやちに対して負い目を感じることもあったよ。まだ何も成し遂げられていない自分に比べて、自分の店を持ったみやちはキラキラ輝いているように見えてた。
みやち だって伊藤さん、「独立する！」とか言いつつ全然しないんだもん！
伊藤 俺は臆病で、石橋を叩いて叩いて叩いて……渡らないタイプなの（笑）。「独立する」って言っているくせに前に進めないもどかしさは自分でも感じていて、みやちの言葉に反論できないこともあった。ただ、みやちがここまでやっているから、自分ももしかしたらできるかも、という気持ちにはなりましたね。
お互いに負い目を感じる時期を経て、リスペクトする部分もわかって、フラットな関係になれたのが現在地点、っていう感じかもね。
（後編に続く）
後半は、お二人がそれぞれ代表を務めるサロンについて、そして今回の撮影したスタイルのポイントについて伺います。
- プロフィール
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Liner
代表／伊藤恵一
神奈川県出身。2003年SHIMAに入社。2007年にタイリストデビューした後は、役職を歴任するほか、雑誌などのメディアで独自のクリエイションを発揮し、現在に至るまで活躍を続ける。2022年2月にSHIMAの同期である大前憲一と協力し、Linerを設立。
- プロフィール
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SHACHU
代表／みやちのりよし
都内の有名サロンを経て、2014年4月、渋谷にSHACHUを設立。2016年12月には2店舗目であるSHACHU -SHIBUYA JINNAN-をオープンさせる。ユニコーンカラー発祥サロンでグラデーション・ハイライト・デザインカラーなどを用いたハイトーンカラーが圧倒的な支持を集めている。2021年からは、Agu.グループと手を組み、全国にカラー専門店『CS made by SHACHU』の展開を行っている。
（文／須川奈津江 撮影／金田裕平）
