美容師は映像クリエイターに向いている!? 2つのキャリアがあるからこそ大活躍できる―GARDEN戸梶翔太さん

 

スタバでカッコつけていたことが、映像クリエイターのきっかけに?!

 

 

映像制作をはじめたのは美容専門学校に通っていたとき。先生のムチャ振りがきっかけでした。学園祭のステージでショーを行ったのですが、そのバックステージの様子をエンドロールで流したいと言われたんです。

 

なぜ僕が頼まれたかというと、Macbookを持っていたから。カッコつけてスタバで開いていたのを見られたんです(笑)。それで「あいつはできるぞ」というウワサが広がってしまって。撮影も編集もわからなかったのですが、カッコつけていた手前「できない」とも言えずに断れなくて、慌ててアップルストアに行ってiMovieの使い方を習ったり、Youtubeで勉強したりしてなんとか頼まれたエンドロールを作りました。

 

そうしたら周りの反応がとてもよくて。子どものころから周りからのリアクションあるとうれしいタイプなので「お、動画っていいな」と。我ながら単純ですよね(笑)。その後、僕が動画を作れることを知った友人から「彼女の誕生日サプライズに動画を作ってほしい」などの依頼がくるようになり、いくつか動画を作ってきました。

 

でも、GARDENに入ってからは時間の余裕がなくなってしまい、なかなか撮影や編集ができませんでした。それに、就活時は動画制作の経験が自分の強みになるともあまり考えていませんでした。当時は空手の経験をアピールポイントにしていたんですよね。

 

それでも、せっかくだからもっと動画制作も深めて、いつかまたやりたいとは思っていて。GARDENでは、営業時間中にサロンワーク以外でも、例えばパワーポイント が得意な人が資料作成を手伝うなど柔軟なところがあります。面接中からそれを感じて、学生時代の動画制作の経験が使えるかもと考えていたんです。

 

そこで、せめて目だけは肥やそうと、Instagramのフォローをすべて映像クリエイターだけにしました。そうするとスマホを開けば自然と映像クリエイターの作品が目に入ってくるので、隙間時間が知識のインプットになりますよね。そうやってアシスタント期は目と心の準備をしていたように思います。

 

いきなり舞い込んだ大型案件に、借金をして機材をそろえて腹をくくった

 

 

再び映像制作をはじめたのはスタイリストデビューしてすぐの2017年。GARDENのコレクションが行われるときに、映像が撮りたいと副社長に直訴したら、「いいね!」と快諾してもらえたんです。美容師ならではの目線を生かしたコレクション映像が作りたいと思っていたので、うれしかったです。

 

その後、友人の紹介で、世界的にも有名な会社からの仕事が舞い込みました。映像制作を再開してすぐの2018年。はじめてのクライアント仕事がいきなりの大型案件で、一瞬ひるみましたが、「こんな映像作っている美容師って、他にいないんじゃないか? よし、なんでもやってやる!」という持ち前のチャレンジ精神で引き受けることにしました。

 

その仕事を受けるにあたって、カメラをはじめ、レンズ2本、スタビライザー、マイクなどの機材を一式購入しました。「先行投資だ」って。さすがにデビューしたばかりでお金がなかったので借金です(笑)。でもこの仕事のおかげで、クライアント仕事というものがどういうものかも知ることができましたし、度胸もつきました。

 

映像制作の機材一式

 

そこまでして映像の仕事を受けようとしたのは、アシスタント時代に結婚して子どもが生まれたことも理由です。映像を趣味で終わらせてしまうと、お金を使うだけじゃないですか。それでは家族の了承が得られない。そこで映像でお金を稼ぐことができれば、自分にも家族にとってもいいことだと考えたんです。

 

「趣味で終わらせたらもったいない」Lily寺村さんとの出会いで活動が一気に広がった

 

 

本格的に映像制作の仕事を受けはじめたのは、2019年に入ったころ。現在、美容師の仕事は週休2日制なので、映像制作は営業後や休日をあてています。スタートから約1年、おかげさまで依頼が絶えず、週に1本強ぐらいのペースで納品しています。撮影場所はさまざまで、ミュージックビデオなどでは、海外ロケになることもあります。

 

ここまで仕事を依頼いただけるようになったのは、人のつながりのおかげです。中でも大きかったのが、森越の紹介で知り合ったLilyの寺村優太さん。「それだけできるのに、趣味で終わらせたらもったいない。せっかくだから仕事にしないと」と言ってもらえ、寺村さんの芸能関係の知人とつないでいただいたりしたんです。

 

今は、寺村さん、宮永えいとさんと一緒に「iii(スリー)」というチームをつくり、映像制作にとどまらず、商品や空間のプロデュースなどを手掛けています。このチームでは現在、4月に原宿にオープンする資生堂のブースを担当しています。

 

また、2019年には「SHEER FILM(シアー フィルム)」というチームを結成しました。メンバーは都内のフォトグラファー、ビデオグラファー、編集、ヘアメイクの4人。自分の手が回らないときは、例えば編集の一部などを「SHEER FILM」の仲間にお願いすることもあります。

 

>美容師が映像クリエイターに生きること、映像クリエイターが美容師に生きること

 

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