限界オタク美容師えりやさんが語る、オタク美容師とお客さまが集う「TOKYO OTAKU HAIR」とは?

ヘアスタイルだけじゃない、人間としてのマッチングを

 

 

美容室って、万人受けを狙おうとすると、どうしても制約が多くなりますよね。ふつうのトレンドサロンだったら、スタッフがアニメキャラクターのグッズを身に着けて働いていたら、「ちょっとそういうのは」と言われてしまう。

今は、ショートヘアにしたい人はショートが得意な美容師さんのところに足を運びますし、ハイトーンカラーにしたい人はハイトーンが得意な美容師さんにやってもらいますよね。だったらオタクヘアにしたい人はオタク美容師のところに来ればいいって思うんです。

 

 

オタクのお客さまがアニメキャラクターのような髪の色にしたいときには、「このアニメキャラと同じ色にしたい」とは、ふつうの美容師さんには言い出しにくい。そこで、推しのアニメキャラにギリギリ似ている現実の髪色を探して、アニメを見ないおしゃれな美容師さんにも通じるようにオーダーをすることが多いんですよ。

それってお客さまにとっては手間がかかりますし、ヘアスタイルはマッチングしていても、対人間としてはマッチングしていないんですよね。施術中も、「ずっと恋愛の話をされてつらかった」という体験をしているオタクのお客さまの声もよく聞いていました。

 

一方で、今はアニメカラーを推している美容師さんもいます。ただ、そういった美容師さんってサロンの中で一人でアニメカラーのブランディングをしていることが多い。

だから私は、サロン自体がオタクカルチャーを肯定する空間として設計されていれば、お客さまは安心して来店できるし、スタッフも自分らしく働けるんじゃないかと考えたんです。“万人受け”の枠からはみ出すことで、自分自身もスタッフもお客さまも、もっと心地よくいられるんじゃないか、と。

 

 

この「トーキョー オタクヘア」は、スタッフもお客さまも、ほとんどが何かしらのオタクです。ジャンルは人それぞれで、アニメ、マンガ、ゲーム、配信者、アイドルなど、本当に多種多様です。

カウンセリングの内容も、ふつうの美容室とはかなり違うと思います。お客さまの方から「このキャラの髪型にしたい」とか、「推しカラーを取り入れたい」といった相談をいただくので、カラーチャートではなくてキャラクターの名前や作品の話が中心になります。「原作の色なのかアニメの色なのか」「どの作画のときのスタイルなのか」とかなり突っ込んで聞くことも多いです。キャラクターに対する理解があると、髪色の解釈にも差が出ますし、細かいこだわりにもしっかり寄り添える。それが、信頼にもつながるんですよね。

 

>「場所」としての力を育てていきたい。美容師の未来とB to B

 

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