「悩む前に動け」美髪アドバイザーはかく語りき -U29次世代美容師 lily 寺村優太-

モデルハントと読書量では誰にも負けなかった

 

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紆余曲折あって有名店に入社し、激動のアシスタント生活が始まりました。毎朝のサロンのカギ開けと、毎晩のカギ締めは全部僕がやっていたんじゃないかと思えるくらい、一生懸命でしたね。

 

有名店入った時点で満足してしまう人もいるけど、僕にとってはそこからがスタート。サロンをもっと有名にするために、アシスタントの自分には何ができるのかを常に考えていて、その一つの答えが「可愛いモデルさんを集めること」でした。だから、先輩に頼まれた人数の3倍くらい集めていましたね。

 

本も1年で100冊くらい読んでいて、ヘアケアに関する内容はもちろん、インターネットマーケティングや人の心を掴む話し方についてなど、さまざまな知識を自分に取り込んでいました。忙しい職場でしたが、移動時間をつかったり、睡眠時間を削ったりして、本を読む時間を捻り出していたんです。

 

ヘアレンジの出張イベントにアシスタントながら参加させてもらい、1カ月で150万円分ヘアケア用品を販売するという実績も作りました。初日の売上は3000円。それを150万円までもっていけたのは、本を読んだ内容を現場で試しながらトーク力や提案力を磨いていった結果です。

 

文章力ゼロから美髪ブロガーへ

 

有名店で働いていたときは、ほかにもテレビ収録や雑誌撮影、タレントのヘアメイクなどいろんな現場を体験しました。その結果、「サロンワークをしているときが一番楽しい」とわかったんです。どれをやるか悩むんじゃなくて、とりあえず全部やってみる。そうすることで迷いが消えました。自分はこの方向に進んでいって間違っていないんだと。

 

そのころ、同じサロンで働いていたlilyの代表の柳本がブログやSNSを始めていました。独自のヘアケア理論が注目されかなり反響があったのですが、サロンの理論と相反するところがあり退職することに。それで柳本はフリーで活動を始めたのですが、独立後1年半で月450万円も売り上げたんです。

 

お金をかけてプロモーションしなくても、ブログやSNSを有効に使えば結果を出していける。柳本の活躍を見て、自分もそっちを目指そうと思いました。手始めに取り組んだのはTwitter。なぜTwitterかというと、長い文章を書くのが超苦手だったから(笑)。「100文字ちょっとなら俺でもなんとかなるんじゃね?」くらいの軽いノリでした。

 

やるからには結果を出したかったので、365日欠かさず1日7回髪のことを呟くことを自分に課しました。いざ初めてみると反響がすごくて、何百回もリツイートされたり、とんでもない数の質問が飛んできたりするアカウントに成長。髪の悩みの質問に答えるときは、必要に応じて医学や化学の資料まで読み込んで、正しい情報を発信しようとしたのがよかったのかもしれません。

 

待っているだけじゃチャンスはこない

 

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フォロワーが増え、単独でも集客できる確信が生まれたタイミングでフリーに転向。そのころにはTwitterと連動させるかたちでブログやLINEなどのツールも使っていました。すぐにブログの読者は増え、個人のプライベートLINEのフォロワーも上限の5000人に到達(その当時LINE@はまだなかったため)。スタイリストデビュー半年で指名売上月250万円をクリアし、その約1年後に480万円を達成しました。

 

その間ずっと、お客さまの髪の悩みに真剣に向き合ってきたし、どこの美容室に行っても好きな自分になれないお客さまの駆け込み寺的な役割を担ってきました。それが数字に表れたのだと思います。

 

今だから笑って話せますが、お客さまに寄りそう気持ちが強すぎて、読み手によっては美容師を批判するように見えるブログを書いて炎上したことも。有名美容師さんから反論コメントがバンバン届いて、「俺、終わったわ…」と思ったことも…。でも、その痛い経験を通じて、むやみに敵を作らないブログの書き方を学びました。

 

結果的に炎上が注目されるきっかけにもなり、今では1回の投稿に対してご新規のご予約が多すぎてしまう為、更新を若干セーブしている状態です。

 

情報発信の幅も広がりました。セミナー講師として全国で活動していますし、2016年秋に向けて書籍の執筆をしています。やりたかったことが次々と実現しているところです。

 

振り返れば、誰よりもサロンにいて練習しているのに、評価としては同期の真ん中くらいだったアシスタント時代。器用ではなかった自分がチャンスを掴むことができたのは、モデハンしかり、店販しかり、情報発信しかり、まず動いて実績をつくってきたからだと思います。そうして信用が生まれると、新しいことに挑戦しやすくなるものです。

 

だから、「チャンスがこない」と思っている美容師さんには、まず先に実績を作り、信用を積み重ねていくことが大事だと伝えたいですね。そう信じてあきらめず行動すれば、必ず道は開けます。僕がそうだったように。

 

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プロフィール
Lily
美髪アドバイザー/寺村 優太(てらむら ゆうた)
群馬県出身。山野美容専門学校卒業。都内有名店を経てフリーランスとして活動後、Lilyの立ち上げに参加。持ち前の美髪の知見を生かし、365日ヘアケア情報をSNSやブログを通じて発信。また、セミナー講師として全国で活動している。さらに2016年秋、ディスカバー21社より自身の経験や知識の集大成といえる美髪本を出版予定。

ブログ
http://beauty-architect.com/lily/ブログ/teramura/

Twitter
https://twitter.com/trmryt?lang=ja

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

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