“共感”が始まり、“共創”が生まれる場所へ。utuwa代表・黒須光雄が選んだ“働き方革命”と次の創造地点loca。創造力を高める” HANGOUT”にも注目
“HANGOUT”が生む、新しいクリエイションの循環
——クリエイションの活動の中で、『Ii』の高木貴雄さんと行っている” HANGOUT(ハングアウト)”についても教えてください。
「クリエイションをもっと身近にしたい」という思いから始めたセミナー活動です。第一線で活躍するクリエイターをゲストに招き、美容学生や美容師の背中を押せるような学びの場にしています。最近では、20代前半でコンテストのグランプリを取るメンバーも増えてきました。
数字や集客にもつながるような“リアルな価値”を伝える場にもしていきたいですし、今後は“ハングアウト”としてヘアショーも開催したいと考えています。僕にとってクリエイションとは、単に「コンテストで賞を取ること」ではなく、「自分のアイデンティティを築くための活動」です。もちろん賞は嬉しいですが、それ以上に、“見た人の心に残る作品”をつくりたい。

サロンワークでも同じで、お客さまにとって忘れられない存在でありたいんです。今の時代、SNSの台頭で“正解”が求められる風潮もありますが、クリエイティブの本質はそこではないと思います。本当のクリエイティブとは、ヘアスタイルや世界観を通して、その人自身を感じ取れるかどうか。50万人以上いる美容師の中で唯一無二の存在になるには、合理的ではなくても、自分だけの表現を貫くことが大切だと思っています。
コロナ禍で一度はリアルワークに重きが置かれましたが、最近はまたクリエイションへの熱が再燃してきています。有名になりたい、認められたい――そんなエネルギーも含めて、表現にぶつけることは素晴らしいこと。僕自身も、もっと自由で新しい表現を追求していきたいですし、そんな挑戦を後押しできる場をつくっていきたいと思っています。
2店舗目『loca』誕生。ケアと撮影空間が生む新しい可能性

——今年7月に、2店舗目『loca』をオープンされました。utuwaとはまったく違う軸ですよね。
locaは、妻がもつスパニスト資格とケアの知識を生かしたサロンです。utuwaはクリエイション軸なので、同じ空間で共存させると打ち出しがぼやけてしまう。だからこそ別ブランドとして立ち上げました。戸建てを改築した23坪の吹き抜け空間で、自然光が差し込む開放的な空間です。ヨガやナイトスパなど、心を整えるイベントも展開し、utuwaとは異なるアプローチでお客さまに喜んでいただける場を目指しています。
――locaは作品撮りのスタジオとしても活用されているとか。
はい。天窓からの光がとても美しく、撮影機材もすべて常備しています。手ぶらで撮影できる環境を整えたことで、スタッフの撮影機会が圧倒的に増えました。以前は消極的だったメンバーも、今では積極的に作品を撮るようになっています。将来的にはレンタルスタジオとしての運用も視野に入れています。
チーム全体で挑戦するクリエイションへ
――昨年、黒須さんはTHAで受賞もされていましたが、コンテストへの取り組みは?
昨年は6年ぶりの挑戦でした。以前は「もうコンテストはいいかな」と思っていた時期もあったんですが、今は少し違います。お店全体でチャレンジできる環境をつくりたいという気持ちが強くなり、僕自身も再びJHAなどの大賞を目指して頑張っています。
若いスタッフもどんどんコンテストに挑戦していて、今年は新卒スタッフがミルボンのDAで受賞するという嬉しい出来事もありました。これからも、クリエイションを通して“個人の成長とサロンの進化”が連動していくような環境をつくっていきたいですね。


- プロフィール
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黒須 光雄(くろす・みつお)さん/『utuwa』『loca』代表
栃木県生まれ。山野美容専門学校卒業後、吉祥寺の技術サロンに入社。5年間経験を積んだのち、仲間と共に高円寺で独立。2019年、二度目の独立では、同エリアにサロン『utuwa』を出店。2025年7月、ケアに注力したプライベートサロン『loca』をオープン。JHA、THAの受賞を経て、クリエイティブセミナー”HANGOUT(ハングアウト)”も開始。KAMI CHARISMA AWARD 2025においてグレイティー インフィニティ カット受賞。
Instagram:@utuwa_kurosu
(文/織田みゆき 撮影/宮崎洋)
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