「子どもを産んでも美容師を続けたい」ママさん支援を行なう「ROUGE」に迫る

子どもを産んでも辞めないスタッフがいる。これはお店にとって一番のメリット

 

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-こうした取り組みを始めたきっかけは?

 

40年以上もサロンをやっていると、その間にスタッフは、結婚したり、母になったりと環境がどんどん変化して、おのずと働き方も変わってくるんです。それにともなって、徐々に変化をしていたのですが、実際に大きく変わったのは、4、5年前ですね。事務職の女性に子どもが産まれたときに、私が「連れてきちゃえばいいじゃない」と言ったんです。それをきっかけに、事務所を大きく改装しました。それまでは靴のまま事務所に入っていたのですが、靴を脱いで入るようにして、床暖房にしました。子ども用の布団もあるので、保育園に行けるようになるまでは、事務所で預かっていたんです。スタッフで代わる代わる抱っこして、ミルクをあげて…。自分の子どものようにかわいがっていますよ。

 

-支援を始めたことで、スタッフたちにどんな変化がありましたか?

 

子どもを産んでも、美容師が続けられるということが励みになっているようですね。現在、妊娠中のスタッフがいるのですが、彼女は結婚を機に茨城県の取手市に引っ越しをしたんです。通勤も1時間半かかるので大変だし、辞めようかと思っていたそうなのですが、こういう支援があるなら続けられそうということで、今も頑張って1時間半かけて通勤していますよ。

 

みんな育休後の復帰がすごく早いですね。半年くらいで復帰します。やはり、彼女たちは美容師の仕事がすごく好きで、仕事をすることが楽しいんだと思います。

 

-復帰したあと、仕事のペースや感覚をすぐに取り戻せるかどうか不安があると思うのですが、なにかサポートはされていますか?

 

復帰後1ヶ月くらいは、お試しで期間として、お客さまを取らずに練習させるようにしていますね。自分でモデルを連れてきたり、家族の方を連れてきたりしています。夜は練習ができないので、月1回火曜日の昼間に総店長が教える練習会に出席することもあります。

 

-ママ美容師を支援することで、独身のスタッフや男性スタッフから、不満の声は出てきませんでしたか?

 

遅くまで働いて頑張っているスタッフと早く帰るスタッフとが同じ基本給だと不満が出ると思いますので、20時を境に、それ以前に退社希望の申請をしているスタッフは1時間10000円ずつ基本給から差し引いています。ただ、その分、時間内にたくさんお客さまを入れれば歩合でカバーできるので、ママ美容師たちも工夫をしているみたいですね。

 

また、以前からうちのサロンでは、スタッフ同士が家族のように付き合っているんです。家のテラスでBBQしたり、食事会をしたり、女性スタッフだけで女子会をしたり…。ピザを作ったこともありますね。ことあるごとに食事をし、家族ぐるみでおつきあいをすることで、スタッフの子どもたちが「みんなの子ども」にように感じて、愛情が出てくるんです。スタッフみんなで子育てをしているような感じなんです。そんなこともあるので、ほかのスタッフからの不満はほとんどありませんよ。

 

-ママさん美容師が働きやすい環境を整えたことによるお店へのメリット、デメリットを教えてください。

 

やはり、子どもを産んでも辞めないでいてくれることが一番です。辞めずに美容師を続けてくれることは、サロンにとってとても大きな財産だと思います。デメリットはとくに見当たらないですね。

 

ママ美容師の支援だけでなく、お店に貢献してくれたベテランスタイリストのお給料を固定給にするなど、スタッフが安心して働ける環境作りをしています。今まで頑張ってくれたスタイリストに感謝を込めて、「定年はありませんよ、永久に働きたいだけ働いてくださいね」という気持ちで。

 

子どもを産んだり、年を重ねたりして、生活スタイルが変わったとしても、このサロンを選んで頑張ってくれたスタッフたちとは、一生つきあっていきたいと考えています。

 

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プロフィール
ROUGE(ルージュ)
取締役/岩木 淳(いわき じゅん)

池袋や茗荷谷など、都内に4店舗を展開するROUGEのマネージメントを手がける辣腕経営者。有名女優からの指名も多く、ヘアメイクアップアーティストとしても活躍している。

(取材・文/池山 章子  撮影/久保田 明)

 

 

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