SNSのバズとクリエイションの審美眼、その両方を武器に挑み続けるDaB Daikanyama私市龍星さん―トレンドメーカーの「ブレイン解剖」

SNSもコンテストも、自分を貫くための“武器”にする

 

 

コンテストには2023年ごろから力を入れていて、一定の結果を残すことができています。実は僕、コンテストに出始めの頃は直感を大事にしていて、事前にあまり技術面の練習をしていなかったんですよね。冒頭でも話しましたが、リサーチや研究は得意なので、それだけでもある程度のところまでは結果が出せるんです。でもそれだと、技術が荒削りすぎて1位を獲ることはできませんでした。作りたいスタイルはあっても、それを叶える技術が追いついていなかったんですよね。それを克服するために練習を積んだところ、昨年はトレンドビジョンで1位を獲ることができました。

コンテストに出るモチベーションとして、自分のスタイルでタイトルを獲るという目標ももちろんあったのですが、もう一つの目的はグランプリを獲ってインタビューを受けることでした。その場で、SNSに夢中になって本来やりたかったデザインをやっていない同世代の美容師さんを煽りたかったんですよ。

 

 

というのも、美容学生の頃からヘアデザインが好きでその道を極めたいと燃えていた人も、美容師になったら日々のサロンワークに追われて、クリエイティブから遠ざかってしまう。その現状が悲しかったんです。もちろん、働き出してやりたいことが変わる場合もあると思います。でもそうじゃないのなら、時間やお金を言い訳にしてやらないだけなんじゃないかなって。それを、SNSでもある程度認知されている自分がクリエイティブでも結果を出して伝えることで、なにかが響くんじゃないかって考えたんです。

ただ、その想いに燃えていたのは2位になった年。準グランプリの表彰式はほとんど喋る時間をもらえず、「なんだよ!」と思っていたのですが、その翌年、いざ1位になったときには自分自身がそういう熱量ではなくなっていて…(笑)。結局言わずじまいでした。

 

コンテストって、いくら1位を獲っても美容業界の内輪の話としてとどまりがちで、それは業界の抱える課題でもあると思います。それを解消できる可能性があるとしたら、SNSの役割は大きいんじゃないでしょうか。

僕は、SNSとクリエーション、どちらか一方に偏るのではなく、両方を並行して続けていきたいと思っているんです。たとえば、SNSが得意な人たちがコンテストにも出るようになれば、それ自体が話題性を生んで、業界の空気ごと盛り上げていけるかもしれないですよね。

 

 

ただ、僕自身は“王者”みたいな立場にはなりたくなくて、常に挑戦者でいたいと思っています。少年漫画みたいに、強いものに挑んでいって、それに打ち勝って自分も強くなる! でも、目の前にまた新たな強者が現れる……というのが好きなんですよね(笑)。だから、過去の栄光よりも常に「今、自分が何をしているか」で評価されたいし、「この人、まだ走っているな」って思われる存在でいたいんです。

目標は、DaBとしてまだ獲っていないコンテストのタイトルを自分が最初に掴むこと。誰かのあとをなぞるのではなく、新しい道を切り拓く人間になりたいです。

今後も、クリエーションとSNS、その両方を武器にして自分らしく発信し続けていきたいです。

 

プロフィール
DaB Daikanyama
ヘアデザイナー/私市 龍星(きさいちりゅうせい)

東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒業後、DaBに入社。ブリーチカラーとパーマスタイルを打ち出し、若い世代を中心に支持を集め、Instagramのフォロワー数は現在約11万人。SNSで積極的に発信を行う一方でクリエイティブにも注力しており、THA、トレンドビジョンなどでタイトルを獲得。

Instagram:@dab_kisaichi

 

(文/須川奈津江 撮影/菊池麻美)

 

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