「有名になって高級車に乗ることだけが成功じゃない」美容師の生き方を広げる美容文藝誌「髪とアタシ」って?

美容師としての生き方の選択肢を広げていきたい

 

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-これまで取材した中で、一番印象的だった美容師は?

 

「渡名喜島で月10日間だけ美容室を開く福田さん。沖縄に渡名喜島っていう島民400人程度の島があるんですけど、それまで島には美容室が一軒もなく、島民たちは3ヶ月に1回くらいフェリーで那覇市まで行って髪を切り、1泊して帰ってくるという生活を送っていたらしいんです。島民の平均月収はそんなに高くないのに、髪を切りに行くだけで1万円くらいかかってしまう。遊びで島を訪れていた福田さんがひょんなことからその事情を知り、何度か島に通っていく中で、島で美容室を始めようと思ったのです。でも、茨城に家族も店もあるので移住はできない…ということで、毎月10日間だけ島でサロンを開くことに。その結果、島の人たちがフェリーに乗らずに切りたいときに髪が切れるという世界を実現できた。さらに、『島の美容室』は写真集にもなり、それがきっかけでメディアにも多く出るようになって島の観光客が増えて観光利益も上がった。想いと技術があれば世界は変えられる、という美容師としてのポテンシャルを最も体現した方だと尊敬しています」

 

-『髪とアタシ』が、美容師や美容業界に発信したいメッセージとは?

 

「美容師としての生き方や働き方の選択肢を広げていきたい。美容師は技術を覚えて、ハサミとクシさえあればどこへでも飛んでいける職業。でも、それを直接文字にするのは野暮なので、『髪とアタシ』の登場人物を通してメッセージが伝わればいいなと思います。読者は美容師に限らず、多くのものづくりに携わっている人が読んでくれています。美容業界誌が売っていない本屋さん、古本屋さんにも展開しているので、高校生にも読んでもらいたいですね。美容師の仕事ってすごいおもしろいんだ!と知ってもらいたい。美容師以外にも『髪』にまつわる人たちも紹介しています。写真家の石川直樹さんや水木しげるさんの漫画も第3刊では掲載しました。髪がもつ可能性、髪の捉え方を拡張していきたい。ファッションやデザインだけが髪の役割じゃないし、美容師の存在もただの髪切りやさんでないことは、証明されてきたと思うんです。」

 

ミネシンゴ/『髪とアタシ』編集長

美容師4年、美容雑誌編集者2年、リクルート『ホットペッパービューティー』営業職3年半を経験したのち、美容文藝誌『髪とアタシ』を創刊。編集長を務める。2015年4月から、逗子で小さな出版社「アタシ社」設立。妻・加代子さんと夫婦でユニットを組み、『髪とアタシ』などの雑誌をはじめ、書籍やパンフレットの編集、デザイン、撮影などをふたりで行う。美容学校での講義、編集系の専門学校で講義もしている。

 

(取材・文/QJナビ編集部)

 

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