メイクの力で引き出したいのは、美しい顔だけじゃない-メイクアップアーティスト/MICHIRUさん-

みんなのアイディアが着地した時、想像を超える感動がある

 

 

撮影中はイメージ通りの色が出ていないとか、モデルさんの顔がきれいに見えないとか、考えることがたくさんあります。みんなでああだこうだと話して、何か少し変化を与えただけで、ガラッと素晴らしいものが生まれることもある。現場に行くたびにサプライズがあるんです。そうしてみんなのアイディアが着地したとき、想像を超える感動と驚きがある。その喜びを現場のみんなとシェアできるのが楽しいのです。

 

メイクアップアーティストとして意識しているのは、フレキシブルでいること。「違うな」と感じたら、妥協せずにメイクを全てとります。頑固になるとそれ以上のものがつくれなくなるからです。

 

例えば、ナチュラルに見えるように撮影する場合、普通だとファンデーションを薄めに塗ってナチュラルに見えるように工夫します。でもあるとき、ディレクターから「もっとスッピンで良くない?」という意見が。それを反映し、メイクをとってニキビなどをカバーするだけに抑えたら、本当にモデルさんの素肌が生き生きとして見えたんです。カバーすることだけがビューティーじゃないんだと思い知らされました。

 

 

変なプライドを持って仕事をすると、思い込みの枠の中から抜け出せません。この世界は、いつもフレキシブルじゃないと戦えない。自分のメイクの軸は、一緒に仕事をしてきたみなさんのおかげでつくられたと思っています。

 

メイクを終えると、顔の美しさだけではなく、喜びや自信が内側から湧き出てくることを感じます。それを強く感じたのは、震災時の石巻でボランティアをしたとき。被害にあい、コスメも流されて沈んだ気持ちの人たちに、メイクで元気を与えたいと思い、現地に向かいました。人はきれいになると、本人だけではなく周りの人たちもハッピーにします。原点は美しくすることではあるけれど、表面だけではなく内側からの美しさにも目を向けるべき。震災ボランティアが、インナービューティーに関心を深めるきっかけの一つになりました。とにかく、今は好きな仕事をさせていただいていることに感謝しかありません。

 

メイクは画家、美容師は彫刻家

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