街の美容室vol.16 新宿 backstage.

−同じビル内のホストクラブのご担当ということで、まさに「バックステージ」、楽屋ですね。お店の雰囲気も楽屋のようです。

 

 

そうですね。内装も楽屋っぽくしています。きらびやかな表の世界に行く前に、本音の顔でくつろいでもらえるようにと思い、ソファーなどを置いてリラックスできる空間を大きくとりました。待合室の機能を果たしますが、ここで自撮りしても映えるよう、ディスプレイを工夫しました。ぼくはアートが好きなので、ちょっと廃墟的でモダンなイメージにこだわって。アンディ・ウォーホルをイメージしてキャンベルのスープ缶をディスプレイしたり、キース・へリングやダリの絵を取り入れたりして。

 

自動販売機を設置し、自由に飲み物を飲めるようにもしました。セットをしたあとに、ゆっくりされていく方もいます。「セット専門サロン」は鏡が全部つながっていたり、簡易的な椅子を使うところが多いのですが、うちは鏡も一人ずつ別々の大きなものを用意し、椅子も座りやすさを重視しました。

 

 

お客さまは基本的には、契約しているキャバクラやホストクラブのキャストの方がほとんどなので、大きな看板を出す必要もなく、宣伝もしていません。でも一般のお客さまにもクチコミで広がり、結婚式の二次会のセットなどにきてくださって、好評です。そうやって広がっていくのは、理想的な形だと思っています。

 

−「セット専用サロン」と普通の美容室では、お客さまとの距離感も違ってきそうですね。

 

 

そこは普通の美容室と大きく違うところだと思います。いらっしゃるお客さまは毎日だいたい同じなので、お客さまとの距離感がぐっと近くなります。もうお友だちというか、親戚みたいな…。話す内容も深くなって楽しいですよ。美容師さんは人間好きの方が多いので、そういった意味でも、とても楽しく働けます。

 

−お客さまがスタイリストを指名できるスタイルなのでしょうか?

 

 

指名制はとっていないんです。歌舞伎町の「セット専門サロン」で指名制でないのはうちくらいじゃないでしょうか。毎日違うスタイリストが担当することで、いろいろなスタイルを楽しんでもらえればと思います。

 

スタイリストも指名を取るために仕事をするのではなく、お客さまをすてきに輝かせるためだけに仕事をしてもらいたいと思っています。スタッフみんなが同じ目的で動くことで団結力が生まれるし、和やかにチームワークよく働くことができます。

 

うちはすごくアットホームな雰囲気なのですが、それは指名制をとっていないからかもしれません。指名がつくかどうかという心配をすることなく、自由に、のびのび仕事をしてもらいたいですね。そうした環境の中で、それぞれのキャラクターをうまく引き出して、個性を育てることができればと思っています。

 

−最後に、今後の目標について教えてください。

 

 

同じ系列でアイラッシュ&ネイルサロン「8ist」(エイティスト)、そしてもう1店舗のサロン「backstage.az」の経営を新たに引き継ぐことになったので、それを軌道にのせていきたいですね。

 

そして一番の目標は、「backstage.」を、「歌舞伎町で夜のセットといえばここ!」と言われるような、この地域でひときわ存在感を放つサロンにしていくこと。歌舞伎町で一番いけている、活気のあるサロンにするというミッションを掲げ、今後もがんばっていきたいと思います。

 

プロフィール
backstage.代表・スタイリスト
大石雅也(おおいし まさや)

東京生まれ。ニュージーランドの高校、美容専門学校で学ぶ。21歳で帰国し、東京マックス美容専門学校通信課程で美容師免許を取得。錦糸町、千葉のセット専門サロンで活動後、新宿・歌舞伎町でフリーに転向。2013年歌舞伎町に「backstage.」をオープン。2016年にはアイラッシュ&ネイルサロン「8ist」、2018年からサロン「backstage.az」を展開。雑誌のヘアメイクとしても活躍中。

 

 

(取材・文/揚石 圭子 撮影/泉山 美代子)

 

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