まずは、美容師としての”基礎体力”をつけること。そうすれば、見える景色が変わってくる。〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき6つのこと」〜 CANAAN 長崎英広
5つ目:新たに習得した良い技術は、人に共有しよう
自分が学んで「いいな」と思った技術があったら、それを周りの人にアウトプットして共有してください。今はSNSがあるので、すぐに共有して自分の能力を見てもらうことができますよね。社会で生きていく上で、成長するためには他者が必要です。人と寄り添っていかないと生き残れないですから、情報の共有はとても大事な要素になります。「この剤を使ったらこの技術がうまくいった」などの新しい発見は、積極的に発信して人に伝える。そうすると、教える楽しさも知ることができて、それが覚醒にも繋がります。
コロナ禍が落ち着いてオンラインからリアルに戻ってきていますが、最終的には人間関係なんですよ。ネット環境とリアル社会のバランスを平均値以上でできることも、活躍するために必要な能力のひとつだと思います。
6つ目:壁があれば勇気を振り絞り、一歩前進しよう
僕が20代の頃のことですが、最初に任された大型セミナーで120人の前で話をしました。しっかりと準備して臨んだにも関わらず、ほとんどの来場者が寝ている姿が見えたのが衝撃で、人に話を聞いてもらうには”伝え方”が重要だと学んだのです。素晴らしいことを素晴らしい感じで話しても、誰も聞かない。面白くないとダメなんです。そこからプレゼンテーションを勉強するために、落語も含め、いろんな話のプロからヒントを得て、ガラッと手法を変えました。その第一歩はめちゃくちゃ勇気が必要で、まさに自分の殻を破った瞬間でしたが、それがメーカーの社長の目に留まり、そこからセミナー活動が本格的にスタートしました。
あれも一種の覚醒でしたが、こういう経験を味わったことがある人って少ないと思うんです。でも、これは多くの人に味わってほしい感覚です。僕は今50代ですが、もう一度それを味わいたいなと思っていて、そのために新しいことに挑戦しようと。改めて、プレゼンテーションを見直したいなと思っているんです。
20代のみなさんは、これからです。美容師として上っていきたいという志があるのなら、誰よりも努力して基礎体力を養い、勇気を出して前進してください。

- プロフィール
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長崎 英広(ながさきひでひろ)/『CANAAN』代表
三重県出身。都内有名店代表などの要職を経て、2012年に『CANAAN』をオープン。業界でカラー技術を20年近く牽引し、カラー剤開発の技術協力やセミナー講師として国内外で活躍。美容師版ミシュラン『カミカリスマ』で「三ツ星カラーリスト」受賞。著書に「45日後カラー逆算レシピ」(髪書房)や「成功するヘアカラー」(女性モード社)などがある。
Instagram:@canaan_nagasaki
(文/織田みゆき 撮影/菊池麻美)
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