美容師に“遅咲き”はない!? 無我夢中の20代が、輝かしい美容人生の礎 〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき9つのこと」〜 stair:case 中村太輔

7つ目: 褒めることも仕事のうち!

 

 

日本人って、なかなか相手を褒めることをしないじゃないですか。でも僕たち美容師の仕事って、お客さまをキレイに仕上げて「素敵になったね!」って言葉をかけるような仕事ですよね。本来は褒めることが含まれて当然なのに、僕が若い頃にいた職場は「良くするのが当たり前だから、わざわざ褒めない」みたいな職人気質で、褒めるという文化がなかったんです。だから僕自身もずっと褒めずにやってきた。

 

で、サロンを立ち上げるときに一緒に始めた子がめちゃくちゃ褒め上手で、側で聞いてて「そんなに褒めるの?」って恥ずかしくなるくらいでした。だけど、お客さまはすごく嬉しそうなんですよ。彼女に「なんでそんなに褒めるの?」って聞いたら、「だって私たちの仕事には『お客さまを最高の気分で帰してあげる』ことも含まれてると思うんです。だから褒めるのも料金のうちですよ!」って言われて、「ああ、確かに!」って納得しました。

 

 

最初は「今日の仕上がり、すごく素敵ですね!」とか言うだけで、お客さまに「どうしたの?」って言われるくらい違和感があった(笑)。でも2年くらい続けたら、自然に言えるようになってきたんですよね。褒める言葉を惜しまないほうが、お客さまもハッピーになる。そういうことを若いうちに知っておきたかったなと思います。

 

8つ目: 自分を良い方向に導く習慣を身に着けよう!

 

 

僕は毎月、スタッフの前で30分くらい話す時間をとっています。そこでよく「習慣」について話すんですよ。人ってついついやっちゃう悪い習慣があるじゃないですか。たとえばギリギリに出社してしまうとか、余計な一言を言ってしまうとか。「こうしたらもっと良くなるのに」という良い習慣もあって、それも意識しないと身につかないものですよね。

 

 

ずっと意識して続けていくと、それがいつの間にか「当たり前」になって、そこから先は自然にできるようになる。これが習慣の力です。結局、今の自分って習慣の積み重ねでできてるわけで、未来の自分を変えたいなら、悪い習慣を少しずつ直し、良い習慣を少しずつ増やすしかないんです。一番やっかいで足を引っ張るのも習慣だけど、一番自分を伸ばしてくれるのも習慣だと思います。

 

9つ目: 将来なりたい美容師に、今、この瞬間からなりきる!

 

 

僕は新しく入ってきた子には必ず、「将来どんな美容師になりたいの?」と聞くんです。すると多くの子が「自分が作る髪型を好きになってくれるお客さまに囲まれたい」とか、「カリスマ的な存在になりたい」みたいな夢を語る。でも、その夢がわりと抽象的だったりするんですよ。だから僕は、「将来、カリスマ的な美容師として働いている自分を思い描くなら、そのときあなたはどんな姿勢で、どんな声のトーンで話してる? 表情は? 声の大きさは?」って聞きます。

 

そうして具体的にイメージしてもらった上で、「それなら今日から、このサロンで働いている間は、その理想の美容師として“演じる”つもりで行動してみよう」と伝えているんです。家では素で過ごしてくれればいいけれど、仕事中くらいは、自分がなりたい理想の美容師を“演じて”みる。技術を習得するのは時間と努力が必要だけど、声のトーンや姿勢ならその瞬間から変えられる。それを習慣化すれば、一歩ずつ理想の自分に近づいていくし、その過程でモチベーションも上がるはず!ぜひ試してみてください。


プロフィール
stair:case  
中村 太輔 (なかむら だいすけ)

ヘアカラー業界の先端を走り続けてきた、日本屈指のトップカラーリスト。カラー剤の開発や国内外でセミナーを行うほか、長年に渡り各コンペティションの審査員も務めている。色彩を巧みに操る高度なテクニックとセンスで、国内外に熱烈なファンを抱える。十八番は、来店ごとに色を継ぎ足し、年月の経過とともに奥行きを与え続ける多色染め。白髪を隠すための染髪ではなく、白髪をデザインの一部として利用する”テクニカルグレイヘア”も、絶大な支持を集めている。
IInstagram:@staircase_nakamura

 

(文/外山武史  撮影/菊池麻美)

 

  20代の美容師がやるべきこと バックナンバーはこちらから>>

   ライフマガジンの記事をもっと見る >>

   リクエストQJ Instagram

   リクエストQJ YouTube

  旬の美容師求人はこちら

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング