断言しよう。目先の利益ばかりを求める美容師が、長く輝くことはない。 〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき7つのこと」〜 ZACC 高橋和義

5つ目:恩師が見つかる環境を選ぼう

 

 

人が集まる環境では、互いに努力し、支え合うことで信頼関係が築かれていきます。何年か経ったときに「あの人には本当にお世話になった」と心から思える経験は、誰にとっても大切な財産になります。恩師の歩んだ道こそが「生きた教科書」だと思うので、若い美容師にはぜひ、その道を追いかける努力をしてほしいと思います。

 

しかし、そうした関係が築かれないまま成長してしまうと、振り返ったときに「誰からも学べなかった」という寂しさを感じることもあります。人間関係を育む環境に身を置くことは、面倒なこともあるかもしれませんが、長い目で見れば決して避けるべきものではないのです。

 

また、学びとは受け身で得られるものではなく、実際に自分が誰かに教えてみることで初めて理解が深まることもあります。20代は、技術だけでなく、人との関わり方や、仕事に対する姿勢も養う大事な時期です。振り返ったときに「この環境で学んでよかった」と思えるような場所を選ぶことが、美容師としての成長に大きく影響を与えると断言します。

 

6つ目:遠回りを避けるな

 

 

20代の頃はヘアメイクなどサロン外の仕事に対する強い憧れがありました。入社した美容室は外部の仕事が少なかったため、自分で外の世界に飛び込むしかなかった。

 

そのためには、貪欲に学び、必要な知識を自分で探しに行く努力が不可欠でした。当時は、今のように情報が簡単に手に入る時代ではなかったため、学ぶには相当な時間とエネルギーが必要だったのです。今振り返れば、随分遠回りしていたなぁと思います。

 

独立直後は、集客がうまくいかないこともありました。イギリスで学んだカットに自信もありました。でも独立する人なんて全員カットに自信があるんですよね。だったらプラスの価値をと思い薬剤を徹底的に研究して傷みの少ないカラーやパーマを実現しました。

そのことで、当時ハイトーンで髪が傷んでどうしようもなくなった女優さんやモデルさんがヘアケアを求めて通ってくれるようになり、ヘアメイクの仕事につながりました。これもヘアメイクの仕事をしたいという夢に対しては随分な遠回りかもしれません。

 

しかし、遠回りしたことで、得られたものは決して少なくありません。苦労は決してマイナスではない。むしろ努力したことは必ず実を結び、自分を成長させてくれる。そう実感しています。

 

7つ目:簡単に仕事を断らない

 

 

「無駄なことは何もない」とはよく言いますが、本当にそうだと実感しています。たとえ目の前の仕事がすぐに収益につながらなくても、そこで築いた関係がいつか自分を助けてくれることがある。だからこそ、目の前のチャンスを大切にし、人との繋がりを意識しながら動くことが、長く活躍するための秘訣だと感じています。

 

20代の前半はとにかくヘアメイクの仕事をもらうべく、レコード会社の方や芸能系の仕事をされている方などに、チャンスがあればいつでも呼んでほしいと伝えていました。

初めはギャラもなく、自分の休みを潰してヘアメイクをさせてもらっていたんです。そしてオファーがあればノーギャラでも時間が厳しくても断らない。それを継続していくうちに、コンサートのヘアメイクなど大きな仕事をもらえるようになりました。

 

最初は「とりあえずやってみる」姿勢で挑んでいたものの、それが結果的に自分のキャリアを広げていくことになった。損得勘定ではなく、まずは経験を積むこと。それが後に収入や仕事の幅を広げる大きな要素になったと実感しています。

 

プロフィール
ZACC代表
高橋 和義(たかはし かずよし)

東京都出身。1988年にZACCをオープン。現在、青山、表参道、銀座にそれぞれ個性を生かした店舗を展開。各店舗のコンセプトをもとに幅広いゲストに対応し、サロンワークでは多くのゲストを迎える中でタレントや著名人も多数来店。CM・写真集等のヘアメイクを担当し、セミナーやショーも日本を含めパリ・中国・台湾などで行うなど海外にも活躍の場を広げている。
ZACC:https://www.zacc.co.jp/

 

(文/外山武史  撮影/菊池麻美)

 

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