「カリスマではなく、ヒーローになる」斉藤恵一が語る真の信頼関係

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「コミュニケーション=伝える力」ではないということ

 

-お客さまとの深い信頼関係を築くにはどのような手順が必要でしょうか?

 

信頼関係を築くためのステップは、「キャリブレーション」と「自分を語る」ことの2つに大きく分けることができます。

 

ステップ1:キャリブレーション

(相手の心理状態を言語以外のサインで認識する心理学テクニック)

僕自身、最初はコミュニケーション=伝える力、トークスキルだと思っていたのですが、実際は相手が持つ情報を“引き出す力”のことなんですよね。そしてその情報を引き出すために必要なのが、「観察→分析→理解→同調」といった相手の心理状態を認識するための一連の流れを表す「キャリブレーション」なのです。

 

例えば、モテない人は異性に独りよがりな自慢話ばかりする一方、モテる人はまず相手の表情や目線、相手の話し方などを“観察”します。観察した上で相手がどんな人なのか、何に興味があるのか、何を求めているかを“分析・理解”して、相手の話に“同調”(=共感)します。同調することで相手は親近感や共有性を感じてくれ、安心して心を開いてくれるようになります。結果、相手と自分との間に信頼の架け橋が築かれるのです。

 

同調は、仮に自分は対象のものが好きじゃなくても“関心”を示すことが大事なんです。例えば、僕はディズニーランドに興味はないのですが、ディズニーランドが好きな相手に、「僕はディズニーランドが嫌い」と言ってしまったらアウト。かといって、「好き」と言っても嘘になる。そこで「ディズニーランドってそんなに楽しいの?」と興味を示すことで相手のことを「もっと知りたい」という同調になるんです。その結果、相手は心を開いてくれて、信頼関係を築くことができる。キャリブレーションができるか否かが、売れる美容師、売れない美容師を分けるんです。

 

ステップ2:自分を語る

信頼関係を築いていない相手にいくら自分からプレゼンしても、心を開かれていないので遮断されてしまいます。例えば、僕が落ち込んでいる女性に「まあ頑張れよ」って背中をポンと叩いたとする。僕としては励ましとしてよかれと思ってやっているのですが、信頼関係がなければセクハラと言われてしまうんですよ。つまり、信頼関係が築かれていない関係だと、「よかれと思って」が相手にとって迷惑になるんです。美容師の提案も、本来お客さまにとってはいい提案のはずなんですが、信頼関係がないと押し売りになっちゃうんです。

 

また、自分を語るときに相手に愛されようとする必要はなくて、大切なのは、「僕はこう思っている」と自分の考えや価値観を伝えることなんです。自分の発言が否定されるのではないかと思いを我慢する人って多いですよね。でも、芸能人のマツコ・デラックスさんや有吉弘行さんはどうでしょう? いわゆる毒舌キャラと呼ばれている人たちというのは、毒舌というよりも、視聴者の代弁者であって、好感度がむしろ高いんです。僕が売れない物でも、マツコさんがすすめると売れるんですよね。勇気をもって自分の考え方を発信すると、実は影響力になるんです。

 

>お客さまの心を読むために明日からできること

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