手編みのニットとサロンワークで生活を彩る。お客さまと自分がご機嫌な毎日を送るために働く、mori naokoさん ─天職WOMAN─
毎日の生活を彩る仕事がしたかった

作り始めてからわりと早い段階で、ニット製品を販売するようになりました。最初にポップアップをしたのは、渋谷にあるマンハッタンレコードというショップ。その次がGOODTHINGでのポップアップですね。竜さん(GOODTHINGオーナー・伊藤竜さん)が「うちでポップアップしてよ。いつにする?」とどんどん話を進めてくれて。chuchu woolというブランドが出来たのはそのくらいのタイミングですね。周りから「個人で売るよりブランドにしたほうがいい」とアドバイスをもらって、大急ぎで準備をしました。
私の周りには、ミルクティー屋さんや、アパレルの仕事など、個人で働いている人が多いので、その人たちに誘ってもらって地方のイベントに出たりもしています。毎日楽しいです。

chuchu woolのニット製品
美容師と編み物に限らず、私はやりたいことが色々あって。フリーランスになるタイミングでは、コーヒーのバリスタになりたいと思ってカフェで働いたりもしたんですよね。留学中に美容師になることを決めたものの、言葉を選ばずに言えば、私は別に美容師じゃなくても良かったですし、これ一本でやっていくぞ!という気持ちはあまりなかったかもしれません。

美容師は、自分が出来ることのうちの一つというか…。この仕事はもちろん楽しいし、すごく好きですが、私が本当の意味で好きなのは“生活”なんですよね。例えば、髪の毛が可愛いと嬉しくなって、服も買いたくなるし、元気になるじゃないですか。そういう、生きる力がみなぎるような、ハッピーになれることがすごく好きなんです。
バリスタをやりたかったのも、美味しいコーヒーを飲んだら元気になると思ったからだし、ニットを販売しているのも、質のいいニットが一つあるとテンションが上がるかな、と思ったからで、もともと私はそういうことがやりたかったのかなと思います。
その中でも、髪は生活に密接に関わりますし、一人ひとりみんな違うもの。毎日ちゃんと巻ける人もいれば、巻くのが苦手で、何もしなくても可愛い髪がいい人もいますよね。理想のヘアスタイルはライフスタイルで変わると思うんですよ。そこまで考えて、その人にフィットさせるのが好きですし、髪からお客さまに豊かな暮らしを届けられたらと思っています。
そういう意味でも、パーマは難しいセットをしなくても決まって、私が提供したいスタイルに合っていると感じますね。ラフでも女性らしさが出るように、意識したスタイルづくりをしています。
ご機嫌に働けるバランスが自分の理想

イベント前などはニットの制作が立て込むこともありますが、寝ずにやってしまうくらい楽しいので全く苦ではありません。実は最近、編み物教室にも行き始めました。波長が合う先生に出会えて、仕事の前と後で一日に二回行くことも。良い意味で、編み物はずっと趣味のままなんです。
編み物に限らず、サロンワークも、今はお仕事をしている時間が本当に楽しいですね。やっぱり私は、ご機嫌な自分を保ちたいんです。忙しさで心が疲れてしまうことは避けたいので、バランスを取りながら働きたいと思っています。私にとってベストは、ちゃんと人間生活が送れること。生きるために料理をして、お洗濯をして、部屋の掃除をして…その上でお客さまに向き合って、その人の生活にぴったりの可愛いヘアを提供することが理想です。

直近の目標は、昨年あまり行けなかった海外旅行にいくこと。遠い未来の話で言うなら、今の仕事を続けて、健康な身体で、髪の毛も身に付けるものも可愛くできるような小さなお店が出来たらいいなと思いますね。
私の一番上の姉は、看護師とヨガの先生をやっていて、真ん中の姉はインテリアや雑貨のバイヤーで、私は美容師。気づいたら、3人ともすごく生活に根差した仕事についていました。それぞれが自分のやりたいことをやった結果なのですが、母が教えてくれた衣食住に寄り添った考えが根本にあるのかもしれませんね。3人でなにか出来たらいいね、とよく話しているので、そうしたことも少しずつ考えていければと思います。

- プロフィール
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フリーランススタイリスト
mori naoko
福岡県出身。山野美容芸術短期大学を卒業後、アメリカのオレゴン州にあるポートランドに8カ月留学。帰国後に都内有名店に入社。8年間の在籍期間を経て、現在は代官山のサロンROUN(ラウン)を拠点にフリーランスとして活躍中。カジュアルながら女性らしいパーマスタイルが人気で、自身で作成したニット製品を販売するchuchu wool(チュチュウール)のディレクション、制作、販売も行っている。
Instagram:@naochchu
(文/リクエストQJ編集部 撮影/菊池麻美)
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