子ども向けのイベントがスタッフ教育にもなる。「子どもとビヨウ」が秘める無限の可能性とは? ―potamu櫻井亮さん

美容師体験イベントは誘われたことではじまった。募集や道具の用意など、準備も万全に!

 

 

美容師体験イベント「子どもとビヨウ」は、実は僕が発案したわけではありません。もともと吉祥寺「acvii」の堀内さんがはじめたことで、僕はその第2回に誘われたんです。「おもしろそうだな」と気軽に参加したら、思った以上の発見と楽しさがありました。それで「このイベントをよりよいものにしていこう」という話をしていたら、なぜか「じゃあ櫻井さんが責任者やってくださいよ」みたいな流れになって(笑)。それで微力ながらイベントのコンセプトや、当日のマニュアル、HP作成なども含め、いろいろ整えていって今に至ります。

 

 

イベント開催は、HPやSNSでの募集告知と材料準備からはじまります。今ではお陰さまですぐ予約が埋まってしまうので、キャンセル待ちなどの調整も必要です。材料の準備で必要なのは、オリジナルのTシャツのデザインとプリント、ウィッグの仕込みなど。カラーが理想通りに出るようにウィッグは予めブリーチをかけているのですが、これが一番大変です。また、メイク用のつけまつ毛や、子ども用のカラーグローブ、アイロンによる火傷を防ぐための軍手など、普段サロンにないものの用意も忘れてはいけません。

 

スタッフの役割分配は、美容師の経験値別に事前に決めておくことも重要です。スタッフの美容師はうちの店だけでなく、メディアで紹介されたイベントの記事を見た他店の美容師さんも協力してくださっています。人数も、余裕を持たせた人員配置を心がけ、フリーでアシストする人を確保しています。当日は予想外のことが起こるのが常。この間は、兄弟の上の子だけが参加するはずだったのに、一緒にきた弟くんが「僕もやる!」って言い出したんです。しかし、子どもの数より多くスタッフを配置したおかげで、参加することができました。

 

子どものやる気を3時間保つためには、楽しませる工夫が欠かせない!

 

「子どもとビヨウ」では、カットとカラーどちらも行うため、本格的に美容師の仕事を体験できる。

 

当日は、受付、説明、カットカラー、メイクの順に行います。最初はみんなガチガチに緊張しているので、まずはお揃いのTシャツに着替えてもらいます。そうすると「Tシャツがもらえた!」という喜びと「今から美容師になる!」という決意が生まれて、急にしっかりするんですよね。そうやってプログラムの中に、子どもたちがモチベーションを保てる仕掛けをいくつか入れているので、3時間という長丁場でもみんな完成までたどり着けるんです。

 

お揃いのTシャツは毎回違うデザインを用意。

 

見学しているお母さまたちも「自分の子どもがこんなに集中しているところを初めて見た」とおっしゃっています。カットカラーしたウイッグは、子どもにとっては1日の成果の証。自宅へ持ち帰ってもらいます。うれしそうに袋にも入れずに持ち帰る子もいるのですが、何も知らないパパはギョッとするらしいです(笑)。

 

イベントの後日、参加した子どもたちのお話を聞くこともあります。中には「今までシャンプーが嫌いだったのに、このイベントに参加してからは率先してやるようになった」とか、お父さまが美容師のお子さまが、「明日からお父さんのお手伝いをする」と言ったというお話を聞きました。そういった話を聞けると毎回うれしい気持ちになります。

 

>子どもに教えることは、スタッフ教育にもつながる?

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