2018年を経てドレッドヘア人気上昇中? ニッチな「特殊パーマ」ニーズに真面目に応え続けた20年—宇宙開発美容所・畑中利光さん

 

アカデミー賞で『グリーンブック』が多くの賞を受賞するなど、2018年から映画や音楽の世界で、ブラックカルチャーが盛り上がりをみせています。今回は、そんなブラックカルチャーからイメージされる、ドレッドやハードなパーマやエクステンションを用いたスタイルを提供する大阪の宇宙開発美容所に注目。

 

1998年から現在まで、ニッチなジャンルを貫き続けてきた理由や、近年のブラックカルチャーブームの影響などを、特殊パーマ界を牽引してきたオーナーの畑中利光(はたなかとしみつ)さんにうかがいました。

 


 

独立のきっかけも店名も、とにかく「おもしろい」ことが大事だった

 

 

僕が美容師になったきっかけは、とにかく自由な服装で働ける職業に就きたかったから。高校生のころは、古着などとにかく個性的なファッションが好きだったんです。「将来はおしゃれな人が多いアメ村で働きたいな」くらいに思っていました。ファッションは自由でおしゃれができるけど、技術も身につけることができ、将来的に長く続けられる仕事に就きたくて、大阪の美容室に就職しました。ただ、アメ村付近で働きたいと思っていたのですが、勤務地になったのは支店の神戸でした。

 

ひとまず神戸で働きはじめ、アシスタントとして働きながら、通信教育を受けました。しかし、当時働いていたサロンは特殊パーマなどの施術があるサロンではなく、その後働いた大阪のサロンも通常の施術のみ。昔から特殊パーマの技術を学んでいたわけではないんです。

 

宇宙開発美容所をオープンしようと思ったのは、同じサロンで働いていた友人と「何かおもしろいことできないかな?」という話が出たとき。独立すれば自分たちがやりたいことを自由に発信できるという考えとノリがあったんです。オープンを決めたのも、「自分たちならではのウリがあるからやっていける!」というより、当時のアメ村には小さな古着屋さんがたくさんあったので、「小さなサロンなら同じようにやっていけるだろう」という気持ちでした。今では20年続くサロンになりましたが、当時はとにかく自分たちの個性を出せる場所がほしかっただけ。「なんとかなるだろう」って勢いではじめた部分も大きかったんです。

 

変わった店名をつけたことで特殊パーマに特化したお店へ進化していく

 

 

店名の由来を聞かれることも多いんですが、これといった由来はありません(笑)。店名を決めるときに、「日本語を店名にするサロンって少ないよね」という話になり、それなら「他とは違う、日本語でインパクトのある名前にしよう!」と、冗談半分でつけた店名なんです。

 

はじめは特殊パーマを売りにしたサロンではなく、通常のカットやパーマの施術を提供するサロンとしてオープンしました。しかし、変わった店名をつけたことで「特殊な施術をやってくれるお店なんじゃないか」と思ったお客さまからのリクエストが増えていきました。

 

知名度が上がったのは、オープンしてから3ヶ月経ったころ。関西エリアで発行されている「カジカジ」というおしゃれ好きな若者に人気の雑誌で、お店を取り上げてもらったんです。お客さまが一気に増えて、流行り始めていた特殊パーマのオーダーも多くなり、現在にも続く、特殊パーマのオーダーが8割という状況になっていきました。

 

特殊パーマの技術は美容学校で教わるものではないので、試行錯誤しながら独学で学びました。あとは基本的にツールも自作。このジャンルのツールって、使う人が少ない分、日本では販売もされていないんですよね。かといって海外から取り寄せても、日本人の髪質に合わせて作っていないので使えないんです。なので、今でも常に使えそうなものを探して試す、ということを繰り返しています。エクステも市販ではないカラーや、短いものしかない場合も多いので、カラーをミックスしたり、ロングのものを作ったりしています。

 

<導入>

>特殊なヘアだからこそのコミュニケーションとは?

 

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