真の美容立国の実現を目指して。【森越道大×大学教授:伊藤庸一郎】美容業界の行動経済学【タブロイド版リクエストQJより】

 

AI化していくことにあたって留意していることはありますか?

 

 

伊藤:AIは、単純に経済を活性化させるツールでしかないんです。ユーザーが悩んでいることに対して答えてくれる。それだけです。森越さんはパーマや髪質改善のスペシャリストで、年間5000人の顧客と向き合い、髪の悩みを解決している本質的な美容師です。もしユーザーがAIよりオーガニックなものを求めるなら、森越さんのサロンに行けばいい。デジタルクローンはあくまでもクローン。オリジナルではないが、森越さんが個人でサービスできるユーザー数を遥かに凌駕できるので、それがデファクトになれば独占的価値も生まれる。

 

森越:このAIを僕たちsenjyuで独占したいわけではなくて、美容業界全体で取り組めらたらいいと思っています。AIを通じて美容師とユーザーが繋がり、毎日のケアを重ねていくことができる。そして徐々に髪はキレイになっていく。だから心って、ちゃんとした経済なんです。美容師がどれほど親身になってカウンセリングしているのか。そういうことまできちんと伝承していきたいんですよね。

 

伊藤:そう言ってくれれば安心。なにせデジタルクローンは依存性が高いテクノロジーなので、安全な運用と公平なモラルを持っている人に使ってもらいたいからね。たとえば自分の意志が定まっていない時、デジタルクローンに意思決定を委ねると楽ですよ。だから思った以上に依存してしまう。自分が満たされていない時に寄り添ってくる存在は危険。

 

森越:だからこそAIを上手に活用したいんです。だからこそ本物に価値がある。クローンAIが発達しても、本物の美容師の心は大事にしていきたいと思います。 

 

 

 

senjyuチーム×愛知産業大学  AIデジタルサロン[Eye]とは?

 

『高品質で信頼性の高いAI』の開発として、国からもプロジェクト支援金を受けているAIデジタルサロン [Eye]。 伊藤教授による「Thinkeye」とsenjyuチームの知識が結集したこのシステムは、AI搭載の自動会話プログラムでの提供を想定している。 

 

ユーザーは髪に悩みを持つ一般のお客さまで、テキスト入力だけで森越さんのクローンAIとかなり深い会話が成立することになる。またクローンAIがネットワークを通じてユーザーの生活パターンまでをつぶさに把握。 「雨の湿気で髪がまとまらない」とユーザーが書き込めば、すぐに共感モードに変わり、ユーザーにとっての最適なアドバイスが届くという仕組みだ。 

 

近い将来、クローンAIはさらに進化していくはず。ヘアサロンや美容師の予約はもちろん、最適なヘアケアアイテムを選び、ユーザーの好みにあうスタイリング剤を紹介し、ヘアカラーやトリートメントをするべきタイミングを知らせる。日本全国の天気情報を元に、「今日はちょっと風が強い。だからこんなヘアセットをしよう」 とスタイリング動画付きで提案があるかもしれない。専属美容師がオンラインで即座に対応し、共感関係を築きながら多機能な器用さを発揮する新しい技術によるAIプロジェクトだ。 

 

【タブロイド版リクエストQJ2022-2023年冬春号より】

(文/QJナビDAILY編集部 photo/宮崎洋)

 

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