多店舗展開するバーバー「KEEN」に学ぶ、男性客の心を掴む方法

バーバーもサロンも男性客向けのサービスや商品をアピールするのが決して上手いとはいえない

 

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バーバーの中でもここまでサービスが充実している店舗は珍しいと思います。

 

そうですね。女性向けサロンはあの手この手でプロデュースしているのに対し、男性向けサロンやバーバーは“見せ方(=PRの仕方)”が決して上手いとはいえないんですよね。でもそれはチャンスです。

 

弊社ではお客さまに「シャンプーラボ」を紹介するとき、このように話します。「世間では奥さまのシャンプーを使っている男性が多いんですが、それでは臭いや髪の悩みは解決しません。男性が髪のケアを意識してシャンプーを選べるように、私たちにしかない独自のシステムを作ったんです」と。そうすると男性向けのシャンプーに興味を抱いてもらい、購入していただけるようになるんです。購入したシャンプーをお持ち帰りいただく際の紙袋も、コストをかけて製作し、デザインや質にこだわりました。このように細部のサービスにも細心の注意を払っています。

 

-では逆に失敗した経験はありましたか? あればお教えてください。

 

客単価を上げるために肩や足のマッサージなど、カットしながらできるオプションをいろいろと取り入れましたが、売上につながらなかったことがありました。オプションのアピール不足とKEENとしての需要がなかったのが原因だと思います。

経営の面で一番つらかったのは、一年半のあいだに徐々に6人ものスタッフが辞めていったこと。一流の理容師に育てるため、厳しく指導したところそれに耐えられなかったようで、6人のスタッフが辞め、たった1人しか残らなかったことがありました。

 

その経験から「あれをやれ」「これをやれ」と指示するだけの教育を辞め、現在はテーマを明確にした新人研修をしています。「競争」「仲間意識」、そして「感謝」をテーマに4日間行なうんですが、両親への手紙を書いてもらうプログラムも用意しています。

 

また、「キャリアプラン」という仕組みを作りました。10年後の自分の理想像をプライベートも含めて掲げてもらい、その実現に向けて、毎月目標を立ててチャレンジするシステムです。月に1度、私がスタッフ全員と面談して反省点をあぶり出したうえで、個々に合わせて目標設定します。

 

教育の仕組みを整えたことで、スタッフの働きぶりは変わったんでしょうか?

 

見違えるように変わりましたね。

 

スタッフの独立も支援されているそうですが、「お客さまを取られてしまう」という不安はありませんか?

 

バーバーは人というより、店にお客さまが付くんです。だからそんな心配はありません。もし独立するのなら、後輩にお客さまを引き継いでもらうようにしています。「自分のお客さまを連れて独立する」という美容業界の風習は理容業界にはあてはまらないと思います。私たちの場合はスタッフが独立しても、グループ会社として一緒に経営ができるようにしていますので、独立したスタッフの年収も、グループ全体の売上も上がるんです。

 

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プロフィール
KEEN
代表/倉田 和俊(くらた かずとし)

2002年に全国理容競技大会 レディース部門で日本チャンピオン、2012年、OMCアジアカップ メンズヘア部門でアジアチャンピオンとなるなど、数々のコンテストでの優勝を誇る理容師。現在は自由ヶ丘、溝の口、横浜、青葉台に店舗を構えるKEEN creative hair
の代表として活躍中。

 

(取材・文/高良 空桜  撮影/QJナビ編集部)

 

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