最近の美容業界の教育事情について、ぶっちゃけどう思っていますか? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応  第13回国際文化理容美容専門学校 瀧下克俊さん×GARTE ATSUTOSHIさん

 

美容師同士だから語れることがある。美容師だから分かり合えることがある。でも、話したい美容師さんがいても、売れっ子同士だと忙しくてゆっくり話す機会もないのでは? そこでQJナビDAILY編集部が、美容師さんが好きなテーマで語り合う対談の機会をつくりました。

 

第13回は、国際文化理容美容専門学校教員の瀧下克俊さんとGARTE代表 ATSUTOSHIさんの対談をセッティング。ATSUTOSHIさんのリクエストで、あえて普通の美容師さんではない瀧下先生をアテンドしました。学生時代のコンテストでATSUTOSHIさんを指導したのが、瀧下先生です。教育に対して情熱を注ぐお二人の教育談義をぜひご覧ください。教える人、教えられる人のどちらにも読んでいただきたい対談です!

 


 

「働き方改革が叫ばれる今、サロンでの教育が難しくなっています」(ATSUTOSHI

 

 

ATSUTOSHI:今回、あえて先生を指名したのは、『教育』をテーマに話をしたかったからです。今はフリーランスも増えてきているし、なかには美容専門学校を卒業してそのままフリーランスになってしまう美容師もいるじゃないですか。明らかに教育不足、経験不足だと思うんですよね。一方で、自主的なレッスンで遅くまで残っていたとしてもブラック企業扱いされてしまうわけで、サロン単位での教育も難しくなってきていると思います。

 

瀧下:たしかに難しい時代かもしれない。よくも悪くも昔みたいに「いいからやれ!」と言われたから素直にやる子ばかりじゃないしね。アツトシくんのサロンには技術を極めたい人が集まるから、言われなくても練習すると思うけれど少数派じゃないかな。そもそもアツトシくんの教育のスイッチがいつ入ったのか気になるな。学生時代はそんなタイプじゃなかったよね(笑)

 

 

ATSUTOSHI:僕は日本一の美容師になるために、日本一の美容室で働きたいと考えていました。まず、高校時代、僕はPEEK-A-BOOのアートディレクターの堀内邦雄さんが上手いと知ったので、その堀内さんがデモンストレーションしている国際文化理容美容専門学校に入るのが近道になるんじゃないかと思ったんです。その後、ロンドンに留学して、ひたすら教育を受ける環境にいたときに、教育の大切さに気づいたんですよね。ヴィダル・サスーンに憧れたんですよ。一人の人間が残した功績としてとてつもなく大きなものがあると思う。ヴィダル・サスーンが亡くなっても、サスーンカットは残った。自分が将来、世の中に何を残せるか考えたとき、やっぱり教育は重要だよなと強く考えるようになりました。

 

「アツトシくんの時代は『この子に抜かれるかも』という危機感があった」(瀧下)

 

 

瀧下:学生時代のアツトシくんは、自分が上手くなるために努力している印象だったけれど、それが「誰かのために」と外に向いたのは、大きな変化だと思う。SNSで後輩たちに向ける言葉なども、昔のアツトシくんからは考えられない。もちろんいい意味でね。振り返ると、アツトシくんの時代は、みんなギラついていて「下手したらこの子たちに抜かれるかもしれない」という危機感があった。先生は学生よりは上手いけれど、そこで満足したら終わるだろうなって強く感じていた。

 

ATSUTOSHIさんの学生時代作品THDC優勝時 学生とは思えない仕上がり

 

ATSUTOSHI:僕自身が技術を売りにしているから、技術を学びたい人がくるんですよね。だから、技術面で成長し続けないといけない。それに、ウチの子たちはみんな上手くなりたいならたくさん練習したほうがいいってわかっているんですよ。でも、僕からは残ってやれとは言わない。パワハラになってしまうから。やらなきゃいけないと思わせる言葉をかけることはありますけど。

 

 

瀧下:美容専門学校も時間制限が厳しくなって、7、8年前と比べると、2時間、3時間くらい門を閉める時間が早い。でもやるべき量は変わらない。やる気のある学生は朝早くきて練習するし、昼休みも練習するし、放課後も練習しているけど、それでも費やせる時間は限られている。だから工夫が必要だよね。

 

ATSUTOSHI:自分からやろうっていう学生は少ないですか。

 

瀧下:それもそうだし、練習の仕方があまり上手くない学生が増えてる。自己満足で終わってしまう人が増えているというか。今はスマホで技術を学べるけど、動画やSNSを見て真似して、それで満足してしまうケースが多い。「動画で見ました」「アツトシさんがこう言っていました」みたいな感じのことを言うんだけど、鵜呑みにしすぎて自分で考えることをやめてしまう。「で、君はどう考えているの?」と聞いても何も出てこない。先輩や僕たちにチェックしてもらって、修正していくことで上達するのに、それをしない子がほとんど。時間が短いなら練習方法や考え方を変えていかないと。美容専門学校は2年間という短い時間だし、その中でハサミの持ち方から学ぶわけだから。

 

>コンテストの結果は正直。センスや運では勝てない」(瀧下)

 

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