最近の美容業界の教育事情について、ぶっちゃけどう思っていますか? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応  第13回国際文化理容美容専門学校 瀧下克俊さん×GARTE ATSUTOSHIさん

「コンテストの結果は正直。センスや運では勝てない」(瀧下)

 

 

ATSUTOSHI:教育の難しさって、コンテストの結果にも表れていますか?

 

瀧下:コンテストの結果は正直だから、センスや運だけで勝つことはほとんどない。やっぱり頑張ってきた分だけ評価されていると思う。学生部門だとそれこそ競技前の会場に入ってきた段階で、「ああ、これは負けたな」って思うこともあるくらい。

 

ATSUTOSHI:わかります。仕込み見ただけで大体の結果がわかる。

 

瀧下:サスーンコンテストでいえば国際文化は渋谷校と国分寺校の代表による校内決勝を経て、全国大会に出るわけだけど、校内決勝を終えてからも成長していないと勝てない。コンテストに出る人に限らず、とにかく自分の頭で考えて、努力する習慣を身につけさせてから、世の中に送り出していきたいと思っているよ。

 

コンテストチームの学生さんたちと瀧下先生。卒業時には感謝の花束が。絆を感じます。

 

ATSUTOSHI:先生の立場から見て、どんなサロンに卒業生を送り出したいと思いますか?

 

瀧下:昔みたいに見て覚えろといっても、新人は動かなくなってきている。もちろん、ダメなことは叱ってほしいけど、理不尽な教育は通用しないね。頭ごなしでなく納得して努力できる環境をつくってくれるサロンだと安心して送り出せるよね。もちろん、新人の皆さんは求めるだけではなく、苦労は買ってでもすべきものだと思う。20代のうちはとくにね。

 

 

ATSUTOSHI:それが自分の軸になりますもんね。

 

瀧下:必ず通らなくてはいけない苦労はあるものの、練習の狙いもまともに説明せずに長時間有無を言わせずやらせるようなやり方は意味がない。そういう意味で、教える側の知識が問われるし、感情のコントロールも欠かせないと思う。

 

「お手本を超えるくらいの意気込みじゃないと上手くなれない」(ATSUTOSHI

 

 

ATSUTOSHI:さっき瀧下先生もおっしゃっていましたけど、今は僕がお手本を見せると、その通りにやろうとするんですよ。たとえば、僕がお手本のウィッグをつくったとしたら、全く同じものをつくろうとする。でも、それじゃ僕以上のものをつくることができないんですよね。

 

僕が学生だったころは、瀧下先生のお手本を超えたいって考えていた。先生が見せてくれるのは、あくまで見本で、それがゴールってわけじゃない。僕のゴールは日本一上手くなることだった。でも今の子は、ゴールが手前にありすぎるというか…。

 

ATSUTOSHIさんの全国学生技術コンテスト入賞作品

 

瀧下:妥協点は低いね。隣の人よりうまくできる、クラスの中でいいほうとかね。

 

ATSUTOSHI:学生時代の僕の仮想ライバルは他校さんだったんですよ。学年では一番上手い思っていたし、コンテストでも結果は出していたので見えない敵をつくって、それと戦っていたんですよね。サスーンの大会だったら渋谷校の学生とか。「僕がこうしている間に、見えない敵はめっちゃ練習しているかもしれない」って自分にプレッシャーを与えていたんですよ。

 

 

瀧下:相手と競うようなスポーツと違ってコンテストは自分との戦いだから、大会前にどこまで到達したのか、その到達点の高さで勝敗が分かれる。その目標の設定の仕方が、アツトシくんたちは上手だった。アドバイスのもらい方も上手だし、自分で考える力もあったし。昔は時間もたくさんあったしね。

 

ATSUTOSHI:僕、隠れて練習していて怒られたことがありますよ。

 

瀧下:日本一を目指す人たちはそのくらいするからね。せっかく日本一を目指す人がこの学校を選んでくれたんだから、教える側としてもそれに応える力がないといけないと思っている。

 

ATSUTOSHI:その気持ちは僕も同じです。自分より下手な人にやれよって言われて、「はいやります!」っていう人はいないと思うんですよね。だから、技術者として誰にも負けられない。一方で、経営にも力を入れたいんですよ。でも経営に力を入れれば入れるほど、自分の技術的な成長が遅くなるというジレンマを感じています。やっぱり「この人に追いつきたい」って憧れるような技術者でありたいですから。

 

>「スマホの中の先生には絶対に負けてはいけない」(瀧下)

 

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