三科光平さんに聞く!消費の時代にOCEAN TOKYOが流行で終わらない理由を徹底検証。商品開発・幹部育成編【連載企画Vol.1】

有名アニメや芸能人を起用して、ブランディングを強化

 

 

オーシャントリコは“プロが本気で作った市販商品”と謳っているだけに、良い成分を使っていますし、価格も抑えています。そのために、とてつもない数を発注して販売するユニクロのような手法を用いています。でも、それだと安かろう悪かろうと勘違いする一定層が生まれてしまうので、商品に厚みを出すためにCMで人気芸能人や有名アニメを起用して、ブランディング強化を図っています。ポーターさんとのコラボが実現したのも、ブランディングのおかげです。いずれはハイブランドともコラボしたいと思っているので、イメージ作りは大事にしていますね。

 

OCEAN TOKYOでは高木の「スタッフのテンションを上げたい」という理由から、「すご!」「楽しい!」をさらに盛り上げるために、CMが放映される直前まで内容をスタッフに秘密にしているんですよ。今年はスキンケアシリーズに新田真剣佑さん、9月に発売したモイストアンサーシリーズのCMは窪塚洋介さんの起用が叶ったので、発表したときはめちゃくちゃ社内が沸きました。

 

 

僕はアニメに詳しいので、次はこれが来る!というアニメを見つけたら、事前にアプローチしたりしています。いずれアニメーションを作りたいなという願望もあるんですけど、みんなが喜びそうなことはこれからもどんどんやっていきたいですね。うちは広告のキャッチコピーもプロに頼むことはほとんどなくて、開発担当の僕がベースを考えて、高木がそれをブラッシュアップして完成させることが多いんです。“思わず「やばっ」て言いたくなる”というコピーもそう。音の響きとかフォントなどのビジュアルも、こだわって作っています。

 

OCEAN TOKYOが流行で終わらない理由検証2:

その理由は多くのスターを生み出す戦略的な幹部育成にある?

 

 

時代の流れを先読みして、先手を打ちながらリスク回避

 

4人+アシスタント7人で始めたOCEAN TOKYOですが、この8年でスタッフは150人を超えました。スターを輩出するにはいろんな方向性があると思うんですけど、「売上」は大前提ですよね。その部分では、僕らはサロンの知名度で集客はクリアできるので、スタッフはそのぶん自信をつけやすい環境だと思うんですね。気持ちにも余裕があるから、他人にもしっかりと目が向けられる。

 

また、僕らはSNSマーケティングの先駆者だと自負しているくらい、スタート時点から人への“伝え方”に力を入れてきました。伝わる仕組みができているんです。アシスタントでさえ名前が世の中の人に覚えられているし、求人もSNSを見て憧れから応募してくれる子がほとんど。人材確保の面でも、そこは有利なのかなと思います。

 

 

教育面では、僕も高木もリスクマネージメントをしっかり行うタイプなので、世の中の流れをいち早く読み取ってリスク回避できるような教育をしています。例えば、世の中は個人ブランディングの時代になっていますが、僕らはずっと前からそこには力を入れていたので、次はサロンブランディングに戻ってくると読んでいました。それに対応するためには幹部がまとまらなきゃいけないので、そこに向けて動いているところです。

 

今はフリーランス全盛期ですから、どんなにスタッフを手塩にかけて育てていても平気で辞めていく時代です。いかにインフルエンサー的な美容師を抱え続けていけるかは、サロン経営の課題ですよね。うちはスタッフが辞めていくことに対して引き止めるということはありませんが、スタッフの流出は“現実”を知ることが一種のブレーキになると考えています。なので、うちではアシスタントにも時代の流れについて話しますし、経営の見えない部分などについても教えています。2023年からフリーランスはインボイス制度が始まりますよね。政府の狙いを勉強させることでキャリアを真剣に考えるきっかけにもなるし、甘く見ていた子は厳しさに気づくことができます。

 

以前なら経営者がスタッフに隠していたようなことも、うちは開示しているんですよ。店舗展開についても、みんなに話すことで全員でそこに向かえるように導いたりとか。曖昧なものは、明確にしています。経営陣の隠し事は不信感に繋がりますし、今は情報時代で若い子もいろいろな事を知っていますからね。

 

 

幹部教育においては、なぜこの仕事をしなければならないのか、ということをきちんと認識させることが第一歩かなと思います。それを達成したあとのアドバンテージや、キャリアアップしたあとの給与体系についてもできるだけ伝えるようにしています。うちはリスクマネージメントができるスタッフがたくさんいるので、今は先陣を斬れるタイプが幹部に欲しいかな。新卒なら、素直で真っ直ぐに頑張れる子ですかね!(笑)

 

 

三科 光平(みしなこうへい)/OCEAN TOKYO 副社長

 

山野美容専門学校を卒業後、都内1店舗を経て『OCEAN TOKYO』に参加。美容師業界では異例のスピード昇格で、Harajuku店代表取締役に就任する。オリジナルプロダクト『OCEAN TRICO』シリーズの開発も手掛けてヒット商品を続々と誕生させており、SNS総フォロワー数は約72万人。著書に、ベストセラーとなった『「考える」で人生は変わる』(宝島社)など。


Ig: @ kohei_mishina

(文/織田みゆき photo/松林真幸)

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