樋口いづみさん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第13回「道を作る人」

2017.02.28

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る新企画です。第12回めは「道を作る人」。apishの樋口いづみさんです。

 

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(イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

憧れであり続けること

 

安倍首相が打ち出す「政府の少子化対策」よりも、各種NPOが打ち出す「ママが働きやすい施策提案」よりも、美容業界の女性美容師さんの(ことに、表参道近辺の女性美容師さんの)出生率をあげたのは、apishの樋口いづみさんだと思う。

 

表参道のど真ん中で、彼女が子どもを産み、そして(一見)軽やかに復帰し、そしてママ美容師として親子で雑誌のページを飾っている様子を見て、女性美容師さんたちは「こういう生き方ができるんだ」と、勇気をもらったと思う。

そして、これはさらに重要なことだと思うのだけれど、その樋口さんに憧れapishに就職を希望するたくさんの専門学生を見て、ヘアサロンのオーナーさんたちは、うちのサロンにも樋口さんのような女性のスター美容師を育てたいと思っただろう。

 

私が樋口さんを尊敬するのは、そのことに対してとても自覚的で、自分の体を自分一人のものだと思っていないことです。

 

自分が復帰に失敗したら(もしくは辛いところを見せたら)、きっと、あとに続くapishの後輩が(そして今となっては全国の女性美容師さんが)、道に迷ってしまうだろうという、その責任感をちゃんと背負って、それでもそんな水面下のバタ足なんか全然見せずに、ママ美容師で、ほんと幸せだよってことをちゃんと夢見せてくれること。それも、ちゃんと現実的な方法で、夢を見せてくれること。

これがですよ、安倍首相の少子化対策よりもすごい説得力あって、「生んだらもう戻れない」空気感があった表参道の美容業界に、どれだけでっかい風穴をあけたことか!!!!

 

今はもう7歳になる娘さんを、樋口さんが妊娠したとき、少なくても表参道界隈では「子どもを生んでサロンに戻ってくる」ことは、全然一般的ではなかった。

apishの代表、坂巻さんにインタビューをさせていただいたとき、「サロンの稼ぎ頭の樋口が妊娠したと聞いたとき、最初当惑しすぎて『おめでとう』も言えなかった」とおっしゃっていたことを思い出します。

前例がない中、樋口さんは自分のためだけではなく、これから同じように一生サロンで働きたいと思う女性スタッフたちのために、いろんな環境整備を始めた、わけなんですよね。

 

そして、それだけではない。自分がどのように働いているのか、働きながらもどのようにプライベートを充実させ、子どもとの時間をとっているのかも、ブログやSNSにアップし続けた。

その樋口さんの投稿に励まされ、ママになったからといって何も諦める必要はない。むしろ、もっと輝き続けることができるんだと、勇気をもらった人はたくさんいただろうと思います。

樋口さんが業界に与えた影響の功績はすごく大きくて。

歯を食いしばってやってきたこともあろうに、それがすべて、発信されるときは笑顔であったことが、樋口さんのすごいところだと、思うのです。

 

> 樋口さんの「道を作る」覚悟

 

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