美容師が知っておきたい最新コロナ情報vol.8 スタッフを「コロナ鬱」や「コロナハイ」から守るために

魔法の質問は「ちゃんと眠れている?」

 

逆に、スタッフがストレス過多になっていないかを見極めるためには、どんなところに気を配っておけばよいだろうか。

 

 

「いつもと違う点がないかどうかを、気にしていくといいでしょう」と、鈴木先生。

 

具体的には、

・いつも時間に正確な人が遅刻してくる

・身だしなみがだらしなくなった

・仕事のミスが増えている

といった変化がないかを観察するのがよいのだとか。

 

「メンタル不調を抱えている人は、眠れていないケースがほとんどです。その結果、集中力が欠けたり、ミスが増えたりします。そういった様子が見られたら、声をかけてあげましょう」

 

ただし、なんでも頑張ってしまう「過剰適応」モードの人には、「大丈夫?」と聞くだけでは「大丈夫」と答えが反射的に返ってくるだけのことも多いそう。

 

なので、質問は

「疲れているように見えるけれど、ちゃんと眠れている?」などと、体調のことなどを交えて、具体的に答えやすいことを聞いてあげるのがよいそうだ。

 

また、鈴木先生いわく

「リーダーが弱さを見せ、自己開示してくれないと、後輩たちは弱音を吐けません。いまは、『なんとか売り上げを立て直さないと』と、余裕がない時期かもしれませんが、緊急的な事態においては、本音でのコミュニケーションが取れることがとても重要です。時には自分の不安や困りごとをスタッフに率直に表現してくれたほうが、かえって周りが安心するという場面もあるでしょう。リーダーが弱みを開示してくれると、スタッフも本音を言いやすくなります」とのこと。

 

また、経営者自身が行き詰まってメンタル不調になっている場合は、不安や葛藤、ネガティブな感情を吐き出せる、安全な場所を確保するのが大事だそう。

 

「たとえば、ビジネスコーチングでもいいですし、占いでもいい。私たちみたいな心療内科を訪ねてもいいでしょう。

友人ではなく、こういった場所を使うメリットは、お金を払うことで、守秘義務が守られ、ノーリスクで話せること。未知の感情や不安を、整理しない状態でうわーっと話せると、心はかなり安定します。

僕はこのように、自分の気持ちを吐き出せる場所を『ウレタンマット』と呼んでいます。宙返りの練習をするときに、最初は床ではなく、ウレタンマットの上で練習するのと同じです。

仕事場のように利害関係が絡む人間関係の中で、いきなり突っ込んだことを言うのは、ハードルが高いですよね。なので、まずは怪我をしない場で、自分のまとまってない考えやネガティブな感情なんかを吐き出してみて、整理する。意外と大丈夫そうだと思ったら、そのあとスタッフさんにお話するのがおすすめですよ」(鈴木先生)

 

自分自身も、スタッフも。

このコロナの時代を、ともに健やかに元気に生き残っていきましょう!

 

おわりに

 

今回は、心療内科医の鈴木裕介先生に、とくに美容業界のみなさんが気を付けたいメンタル不調についてお話しを伺いました。

 

『メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本』(大和出版)には、さらに詳しく、メンタルケアについて書かれています。

私(さとゆみ)自身も、この本が大好きで、いろんな人におすすめしています。

 

withコロナの不安定な時間は、しばらく続くと思われます。この時期に、ぜひこの本を手にとって、スタッフさんのメンタルのケアに役立てるのはいかがでしょうか。

 

 

鈴木先生、ありがとうございました。

 

プロフィール
鈴木裕介(すずき・ゆうすけ)

内科医・心療内科医・産業医。内科医として高知県内の病院に勤務後、一般社団法人高知医療再生機構にて、医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。2018年「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原内科saveクリニックを高知時代の仲間とともに開業。院長に就任。
著書に『メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本』(大和出版)、『NOを言える人になる』(アスコム)がある。

 

 

プロフィール
佐藤 友美(さとう ゆみ)

日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)

 

(取材・文/佐藤 友美・イラストレーション/カツヤマケイコ)

 

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