無料で情報が手に入る時代に、あえて本にお金を注ぎ込むわけ -FAVORITE GARDEN 齋藤 隆志さんの習慣 後編-

 

JHAではノミネート常連。拠点は米子・広島でありながらその知名度は全国区の人気美容師、FAVORITE GARDENの齋藤 隆志さん。Photographerとしても活躍するクリエイティブセンスの持ち主です。ヘアサロンオーナーとして、そして気鋭のクリエイターとして、今も進化を続ける齋藤さんが大切にしている習慣を伺いました。インタビューは前編・後編の2回、今回は後編です。ぜひ前編と合わせてご覧ください!

 


 

一つのテーマを深く理解したいのなら、テレビやネットよりも本

 

読書を習慣化しようと思ったきっかけは1冊の本でした。たしか元リクルートの人が書かれていた本だったと思うのですが、その人も最初は「無理して読んでいた」と知ったからです。読んでいるうちにいずれ読書が好きになると。それなら自分もノルマを課して、本を読んでみようと考えました。今では、純文学も自己啓発系もなんでも興味の赴くままに読んでいます。テレビやインターネットで手軽に情報を得られる今の時代だからこそ、本を読む価値があると思うのです。

 

例えばテレビはスポンサーがいますし、視聴率を競っていますから、放送する情報がどうしても恣意的になりがちです。インターネットの場合は膨大な情報量がありますが、その真偽について見極める力がないと嘘の情報に振り回されてしまいます。また、情報は断片的なものが多いため、自分なりに編集することが求められます。

 

一方で、本は一つのテーマに基づいて情報がまとめられているので、理解が進みますし、深掘りもしやすい。本を読むことで、他人の人生の一部を体験できると誰かが言っていましたが、その通りだと思います。僕も本を通じて、たくさんの人と出会っている感覚です。

 

本を選ぶときは、そのとき興味がある人や、出来事に関する本をAmazonなどで購入しています。ホリエモンさんや天才編集者の箕輪さん、研究者の落合陽一さんなど話題の人の本をまとめて読むこともあります。キングコングの西野さんは、本を読む前は少し苦手なイメージがありましたが、YouTubeや書籍を通じて知るうちに好きになりました。

 

こんな感じで、その時々の旬の人の言動については、できるだけ追いかけていきたいなと思っています。重要なのは、「なぜその人が注目されているのか」「なぜこの人の言説が支持されているのか」などを理解すること。「なぜ売れているのか」を知ることは、自分のビジネスにもつながるからです。

 

美容師さんにぜひ勧めたい『勝者のゴールデンメンタル』

 

 

最近読んだ本で、美容師さんにおすすめの一冊は、メンタルコーチの飯山晄朗氏が書いた『勝者のゴールデンメンタル』(大和書房)です。メンタルコーチとは、強い心を育むコーチのこと。飯山氏は、県大会で歴史的大逆転劇を演じて甲子園出場を決めた高校をはじめ、全国制覇や全国表彰台に上るなど、結果を出す組織やチームの指導をした経験の持ち主です。平昌オリンピックのスピードスケートで金メダルを獲得した髙木菜那選手のメンタル指導をしたことでも知られています。メンタルといっても決して精神論の話ではなく、脳の仕組みを理解して、メンタルを強化するという内容です。

 

たとえば、目標を掲げるとき、ぼんやりと「自分の家を建てたい」と思っていてもそれは実現されません。でも、「2年後に家を建てる」「いくら頭金を貯める」「収入をいくらにする」など具体的な数字にすると、脳がその実現のために動き出すそうです。そして、その目標が自分のためだけではなく、誰かのためだとより実現性が高くなります。例えば、家を建てる場合なら、「家族の笑顔がみたい」「幸せに暮らす様子をみたい」など。目標を達成する過程で困難にぶち当たったとき、その目標が「自分のため」の場合は、自分を守るために脳がブレーキをかけてしまうことがあるのですが、目標が「誰かの幸せ」の場合、脳は諦めずに頑張ろうと動き続けると飯山氏は述べています。

 

僕は以前から「褒めて伸ばす」という言葉に疑問を持っていました。ただ褒めるだけで人が成長するわけでないと思っていたからです。それがこの本を読んで確信に変わりました。美容師に関して言えば、練習しなければ上手くなりません。大切なのは、褒めたり叱ったりして「練習させること」ではなく、本人が自ら「練習したい」「練習が楽しい」と思えるように促すこと。そうなるように「心をコントロールすること」です。

 

>精神論、根性論ではなく「脳の仕組み」を理解することが大事

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