姫路のカリスマ美容師が選挙へ出馬! 美容の枠を超えた壮大な未来予想図とは? ―etto hair salon溝口達郎さん

姫路を盛り上げたい! 持ち前の行動力で実現に向けて取り組む日々

 

写真左)街興しイベントで美意識セミナーの講師を担当。写真右)パリコレのアフターパーティー後に訪れたヴェルサイユ宮殿。

 

姫路の活性化活動をはじめたきっかけは、2015年にサロンの代表である市場さんが開催した、「姫路コレクション」。パリコレのデザイナーRYNSHU氏とのコラボレーションを実現し、世界遺産姫路城でファッションショーを行うという革新的な内容でした。ショーは素晴らしく、姫路で開催されたことで大きな話題にもなりました。基本的に負けず嫌いの僕は、先輩が新しいことをしているのを見て感化され「僕自身も違う形で姫路を盛り上げていきたい!」という気持ちが大きくなりました。

 

活性化活動に本腰を入れはじめたのは2018年からです。

 

僕のお客さまは年代はバラバラですが9割が女性なんです。若い世代の方も多く、その中でも美意識が高く、驚くほどかわいい子や綺麗な方ばかり。しかし、いろいろな話を聞く中で「出会いがない」「彼氏ができない」「せっかくサロンで綺麗になっても、誰かに見せる場所がない!」と嘆いている方が多いんです。

 

魅力的でワクワクする環境が姫路にはないなら、「みんなが集える場所、もっと出会いが生まれる場を作りたい!」と真剣に考えはじめたことがはじまりでした。

 

まず作ったのは「姫路社交会」という団体です。「どうせやるなら本格的に姫路の町興しをしよう!」という話になりました。若者たちの出会いの場となるイベントを提供できれば、姫路がもっと楽しくなるに違いないと確信し、出会いを含めた野外イベントやフレンチレストランでの婚活パーティーなどさまざまなイベントを開催しました。しかし、より大規模に活動しようとすると当然資金が必要になってきます。ですが、このような活動には市からの助成金が出ないんです。「このままでは若者も出て行ってしまう。大好きな姫路が衰退するのを待つだけでいいのか…」と強く感じました。それなら自分がもっと勉強をして、中心となって動くしかないと思いました。その想いが姫路の市議会議員に立候補するという挑戦に繋がったんです。

 

美容師と市議会議員候補者。2つの顔を持つ生活に…

 

 

出馬を決めたのは2018年の10月です。投票まで半年間しかなく、今思えばかなり無謀でしたね。選挙までのラスト2ヵ月はほとんどサロンワークはせず、選挙に専念しました。美容師と選挙活動の両方を行っていた期間は、朝9時から17時まではサロンワーク。17時以降の時間は地域の活動などに充てていました。美容師としての自分と、姫路の活性化活動をしているときの自分は完全にキャラも切り替えてやっています。特に選挙活動をしているときは目上の方と話す機会も多かったので、そういうときにはスーツを着て、頭にハチマキを巻き、きちんとしていました。けれど美容師のときは見た目も喋ることもひたすらチャラそうでラフな印象を演出しています。

 

選挙活動中に実感したのは、1人で突っ走らずに“周囲の意見に耳を傾ける”ことの大切さです。姫路駅前の商店街で商売をしている60代70代の方が僕に泣きながら「自分たちがいなくなったらもうここはシャッター街になってしまう。今変えてくれなかったら終わってしまう。どうにか守ってほしい」と訴えてきたことが一番心に刺さっています。この方たちの想いのために「他の誰かではなく自分がどうにかしなければ」と強く感じました。今後未来を担っていく若者たちの意見や要望、先輩たちが守ってきた物や想い、その両方に耳を傾けることが、市民全体にとっていい街になると確信した出来事でした。

 

 

結果は400票足りずに落選でした。ですが、「姫路の未来のために、ちょっと変わった若い美容師が何かしようとしている」という事実だけでも多くの人に知ってもらうことができました。短い期間でしたが、お店のスタッフやお客さま、さまざまな職種の方が応援してくれたことにも感謝の気持ちでいっぱいです。この感謝の気持ちは僕を人間的に成長させてくれました。そして何より若い世代に今姫路が直面している問題を伝え、自分の街の未来に興味を持ってもらえたことは大きな収穫だったと思います。

 

とにかく僕は派手なので変な人扱いされることが多く、初めは馬鹿にされたりもしました。立候補してもどうせ無理、目立ちたいだけだろう、売名行為じゃないか、など散々言われました。けれど継続は力なりで、寒い日や雨の日も必死で街頭演説し、めげずにSNSでも自分の意見を発信し続けました。次第に周囲に声をかけてもらうようになり、少しずつですが認めてもらえるようになったと思います。他のサロンの方までもが、僕の選挙ポスターをお店に貼ってくれたり、「SNSでシェアしたいので一緒に写真を撮ってください」と言ってくださいました。地方の美容業界はなかなか手を繋ぎたがらないところがあるんですが、こうやって自分の活動で横の繋がりがぐっと広がったのもありがたいです。

 

>働き方を考えれば、可能性は無限に広がる。それが“美容師”の強み!

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