歌う美容師——高木貴雄さん、なんで歌っているの?

好きな曲を聞けば、提案するヘアスタイルが見えてくる

 


—逆に動画を見て、新規のお客さまがくることは?

 

ありますよ。僕がコピーした曲やアーティストが好きで、それをきっかけにご来店いただくことは確かに増えました。おもしろいのは、音楽をきっかけにこられたお客さまの場合、好きな曲やアーティストの話を聞いたら、もうそれがカウンセリングになってしまうこと。その後はお任せしてもらって、その人の好みに合う髪型を提案させていただいています。

 

—好きな曲がわかれば、そのお客さまのヘアスタイルの好みも見えるということですか?

 

見えます。コピーした曲は歌詞も深く読み込んでいますし、PVも見ているので、そこから好きな空気感や、やわらかい感じが好きとか、ブラントラインが好きとか、その人の好みが想像できます。そうやって提案したヘアは直しを希望されることもないし、音楽をきっかけにきてくださったお客さまは、ほぼリターンしてくれています。逆にヘアカタログなどを見てくるお客さまは、もうその髪型をやったら満足してしまうので、次につながらないことも多いんですよね。

 

—自分で作詞・作曲もされていますよね。

 

はじめは美容専門誌の企画で依頼をもらったんです。ヘアカラーデザインを提案して、そのレシピを5分で歌にしてほしいって。5分って、無茶ぶりですよね。でもやっていくうちに熱が入ってきて、その会社のウェブマガジンで連載させてもらうまでになりました。今までにインディーズバンドとコラボレーションして、僕が作詞・作曲した曲を演奏してもらったり、PVをつくったり。自分でもどんどんクオリティを求めるようになってきて、大変ですけれど、おもしろいです。

 

 

—美容の仕事と、歌ったり、作詞・作曲することに、何か共通点はありますか?

 

ヘアスタイルをつくるうえでも、作詞・作曲するうえでも、プラス、マイナスしながら考えていく過程は同じように思います。ヘアスタイルもディテールがいっぱいあるものが良いとは限らないじゃないですか。作詞や作曲も同じで言葉の並びや、ボリューム感をコントロールしてバランスの良いものにしないと、一曲の歌として聞けないんですよね。そのためにそぎ落としたり、加えたりする作業は、美容のプロセスとものすごく共通点があると感じています。

 

>美容師だけど、音楽を仕事にする!? 

 

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