“共感”が始まり、“共創”が生まれる場所へ。utuwa代表・黒須光雄が選んだ“働き方革命”と次の創造地点loca。創造力を高める” HANGOUT”にも注目

東京・高円寺で、2019年に自身のサロン『utuwa(ウツワ)』を、そして2025年7月には『loca(ロカ)』を立ち上げた黒須光雄(くろすみつお)さん。そんな黒須さんには25歳の時に、一度、独立した経験があります。6店舗まで広がったサロンですが、そこから心機一転、クリエイションと向き合える場としてスタートしたサロンがutuwaでした。さらに新ブランドのlocaでは、光が降り注ぐ吹き抜けの空間を生かし、ヘアケアと撮影文化を融合することで、美容の新たな可能性を提示しています。クリエイション活動を通して“表現する美容師”を育ててきた黒須さんに、これまでの歩みと創作活動についての思いを伺いました。
進学校から美容の道へ。吉祥寺で始まったキャリアの原点
——高校時代にライブハウスに通っていたことが、美容師への道につながったそうですね。
そうなんですよ。音楽が好きで、当時は”バンドブーム”でライブハウスがすごく盛り上がっていました。そこに美容学生や美容師さんが集まっていたので、話す機会があって。僕の高校は進学校だったので、大学進学が当たり前の環境でした。でも、好きな音楽を聴きながら好きな空間で働ける美容師の仕事っていいな…と思い始めたんです。個性的で自分らしい彼らの生き方にも惹かれ、「この生き方、かっこいいな」と。それで受験を辞めて、美容師の道へ進むことにしました。

——都内の専門学校に進学して、最初の就職は吉祥寺のサロンでしたよね。
はい。最初から独立願望があったので就活の面接の時にその意思を伝えていたんですけど、有名店や大型店はどこも反応がいま一つで。吉祥寺のサロンだけは、僕の独立願望を前向きに受け止めてくれたんです。それに教育もしっかりしていたので、入社を決めました。実際に入社後の教育システムはすごく良かったです。有名店から中途で入ってきたスタッフも多かったので、いろんな技術を見ることができて勉強になりました。今でも「あの店に入って良かった」と思っています。3年ちょっとでデビューして、2年ほどスタイリストとして働き、そして25歳で念願の独立を果たしました。

——それが一度目の独立ですね。出店のきっかけは?
元同僚と「いつか一緒に店をやろう」と計画していて。2年間準備して、そこに後輩(現在の妻)も加わって3人で立ち上げました。高円寺にしたのは、面白いカルチャーがあるのにデザインサロンがほとんどなかったからです。あの頃は25歳で出店というのはかなり珍しくて、周りからはかなり心配されましたけど(笑)、「3人なら何とかなるだろう」と思って挑戦しました。

ありがたいことにお客さまには恵まれ、8年で6店舗まで広がりました。でも年齢を重ねるとライフステージも変わりますし、同じ働き方を続けるのが難しくなるスタッフも出てきます。「このまま走り続けられるのか?」という思いが芽生えてきました。だったら自分の理想の店を一から作ってみようと考えたんです。これまで以上にクリエイションに力を注いでいくためには、そこに没頭できる環境から整えていかなければと思うようになって。その思いが、二度目の独立へと突き動かすきっかけになりました。
>『utuwa』で再構築した働き方と、クリエイションへの挑戦