ダンサーからMR.BROTHERS CUT CLUB初の女性バーバーへ。一脚の席から世界を変えるMEYOUの仕事観と技術の先にあるカルチャー

東京・原宿にポマードブランドBROSH(ブロッシュ)初のセレクトショップ〈葛屋東京〉がオープンしました。店内の奥には、カット椅子一脚のみが置かれた個室バーバー、MR.BROTHERS CUT CLUB EXCLUSIVE(ミスターブラザーズ・カットクラブ エクスクルーシブ)が併設されています。この特別な空間でバリカンを握るのは、同ブランド初の女性バーバー、MEYOU(ミユ)さん。バーバーカルチャーが色濃く息づく場所で、自身のスタイルを確立し、圧倒的な存在感を放っています。元々はダンサーとして活躍していたというMEYOUさんのバーバーへの転身、そして現在に至るまでのストーリーを伺いました。
ダンサーからバーバーへ、直感が導いた転機

10代の頃からダンサーとして活動していて、ダンスの講師もしていました。高校卒業後、美容学校に入ったのは、ダンスの発表会などでヘアメイクができたら稼げるかな? というぐらいの気持ちで(笑)、美容師になるつもりはありませんでした。卒業後はそのままダンサーとしての仕事を続け、ダンス講師をしたり、ショーに出たり、アイドルの振り付けをしたりという生活をしていました。
そんな中、旅行でニューヨークを訪れた際に出会ったのが、バーバーカルチャーの火付け役であるFRANK’S CHOP SHOP(フランクスチョップショップ)でした。街の中でのその店の佇まい、横一列に並びバリカンを手に施術する光景。そのすべてに強く惹きつけられたんです。

当時の日本の“散髪屋”といえば、地域密着型の理容室。年配の男性が働いている場所というイメージが強く、現在のようなカルチャーとしての「バーバー」は、まだ広く浸透していませんでした。でも、そのサロンで私が初めて見たのは個性的なスタッフたちがつくる、フェードをはじめとしたかっこいいバーバースタイルでした。
直感的に「ここで働きたい」と思い、何度も頼み込みましたが、そのときは叶いませんでした。ただその時点では、“バーバーになりたい”というよりも、“この場所で働きたい”という気持ちの方が強かったんです。一度は区切りをつけて帰国し、再びダンサーとしての活動に戻りましたが、その後もニューヨークを訪れるたびにバーバーに足を運び、スタッフと食事に行くなど、交流は続いていきました。

数年後、FRANK’S CHOP SHOPが日本に上陸し、福岡に店舗がオープンしました。ただその頃はダンサーとしての活動に集中していたため、自分が決めた期限まではやり切ると決め、その後、進む道を考えようと思いました。

自分で決めた期限がくる少し前。オーディション帰りにふらりと立ち寄った中目黒のパン屋の帰り道、偶然通りがかったのがMR.BROTHERS CUT CLUBでした。ニューヨークで受けた衝撃と同じ感覚が、一瞬で蘇ったんです。思わず近くにいた人に「この店、めっちゃかっこいいですね!」と声をかけました。それが西森(MR.BROTHERS CUT CLUB 代表・西森友弥さん)でした。その時はお店のことも西森のことも知らなかったのですが、ここで働きたいと直談判しました。でもここには女性は一人もいないからと断られてしまったんです。