ジェンダーを越えるニュアンスヘア。美容師とヘアスタイリストを横断するNu:v /Tacさんのスタイルと世界観

東京・恵比寿のヘアサロン「Nu:v(ヌーヴ)」にオープンメンバーとして参加し、サロンワークと並行してファッションやエディトリアルを中心としたヘアメイク・ディレクションの分野でも活動するTac(タク)さん。レディースカットで培ってきた、顔まわりの繊細なデザインや柔らかな質感を生かし、現在はジェンダーを問わず似合わせる中性的なニュアンスヘアを提案しています。

一方で、TikTokではスタイルの提案を、Instagramでは自身の世界観を伝えるなど、SNSの使い分けにもこだわり、サロンワークでも人気を集めています。今回は、美容師とヘアスタイリストという2つのフィールドを行き来しながら、自分らしいスタイルと世界観を築いてきたTacさんに、その背景とこれからについて聞きました。

 


 

美容師とヘアスタイリスト。二つのフィールドで広げた可能性

 

 

―出身は京都とのことですが上京された経緯、Nu:vとの出会いは?

 

美容学校に通っていた頃から作品撮りが好きで、将来はヘアスタイリストとして働きたいと思っていました。卒業後は、雑誌撮影などの機会が多い有名サロンに就職を決め、上京しました。そのサロンで2年間アシスタントを経験した後、デザインサロンに移り、その後は、1年間ほどフリーランスで活動していました。

 

そんな時、Ryutaro(Nu:vディレクター)さんがNu:vを立ち上げると聞いたんです。僕は20歳くらいの頃からずっとRyutaroさんに髪を切ってもらっていて、モデルもしていました。サロンに行った際に立ち上げの話を聞き、「Ryutaroさんがサロンをやるなら一緒にやりたい」と、その日のうちに参加を決めました。

 

 

Ryutaroさんがゼロからつくる、ハイセンスなサロンを一緒につくれることへのワクワク感が大きかったですね。それに当時、ヘアスタイリストとして活動する中で、サロンに所属しているほうがクライアントからの信頼を得やすいということも実感していたので、もう一度サロンに所属しようと思っていたタイミングでもありました。

 

オープン当初は、スタイリストが僕とRyutaroさんの2人だけでした。Ryutaroさんはメンズ、僕はレディースを中心に担当していたので、スタイルの面でもバランスが良かったと思います。何より、センスの良い、かっこいいスタイルを世に出したいという思いが共通していました。

 

ただ待っているだけではダメ!作品撮りから始まったヘアメイクの仕事

 

 

―Nu:vに入る前からヘアスタイリストとしての仕事もしていたとのことですが、どのように始めたのでしょうか。

 

本格的に始めたのは25歳くらいです。ただ、誰かに師事していたわけではないので、漠然と撮影の仕事をしたいと思っているだけでは、なかなか仕事にはつながりません。もともとカメラマンやファッションスタイリストの友人が多かったので、まずはそうしたつながりから作品撮りを始めて、髪を切りに来てくれていたモデルさんにも撮影をお願いしたりして、徐々に人脈を広げていきました。

 

撮影した作品はSNSに投稿するだけでなく、海外の雑誌やメディアにも送っていました。ヘアメイクの業界では下積みとしてよくやるんです。日本の雑誌は縦のつながりが強くて、新人がそこに食い込んでいくことは難しい。でも海外はアートブックや、カルチャー系のメディアがたくさんあって、スタイルが良ければ掲載してもらえる機会も多いので、そこで実績を作るんです.

 

同時に、作品や実績を少しずつ積み重ねていくことで、ヘアメイクとしてのポートフォリオができていきました。

 

 

―ヘアスタイリストとして現在はどんな仕事をされているのでしょうか?

 

ファッションブランドの撮影が多いですが、ヘアプロダクト、企業広告など、いろいろな案件があります。サロンワークと並行しながら、月に5本くらい撮影が入ることが多いですね。

 

昨年からは韓国のブランドとの仕事が増えて、7〜8回渡韓して撮影をしました。向こうでの人脈も広げて、いろいろなブランドにアプローチも始めました。韓国はSNSのビジネス運用が日本より進んでいるので、連絡をすれば何らかの反応がありますし、レスポンスも早いんです。

 

―自身でアプローチもするんですね。

 

もちろんです。僕はサロンワークとヘアスタイリストの両方をやっていますが、ヘアメイク一本でやっている方と仕事を取り合うことになります。だからただ待っているだけではダメだと思っていて。自分から企画書を作ってアプローチすることも多々あります。韓国のブランドは日本で撮影をすることも多いので、こちらのロケーション知識やモデルとのつながりを活かして、そのブランドのコンセプトやイメージを汲んだ企画書を作ってディレクションまですることもあります。そこまでやれるヘアスタイリストは少ないので、目に留まりやすいんだと思います。

ただかっこいい作品を作ってSNSに投稿していれば仕事がくるという甘い世界ではないので、できることはどんどんやっていこうと思っています。

 

TACさんが提案時に作る企画書抜粋

 

―サロンワークと並行でそれだけの仕事をするのは大変なのでは?

 

ヘアスタイリストの仕事に合わせて、サロンワークの稼働時間を調整したりしています。企画書を作ったり、作品撮りをしたりするのもサロンワークの休業日に取り組むので、基本オンもオフも関係なく稼働していますね(笑)。でもやりたくてやっているので全然苦じゃないんです。サロンもやりたいし、ヘアメイクもやりたい。両方やりたいなら、それに合わせて動くのは自然なことだと思っています。

 

>可愛いの中にかっこよさを、かっこいいの中に女性らしさを

 

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