本当のチャンスはもがき苦しんだ後にやってくる -Hair Salon WOMAN-

0を1にすれば、あとは2、3、4と進んでいく

 

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スタイリストになってしばらくしたころ面倒を見てもらっていた先輩が独立することになり、そこについていくことにしました。次第に仕事に慣れ、独立を強く意識したのは8年目くらいのころ。怠けちゃったわけではないんですが、マンネリというかなんというか…。必死にならなくても仕事が回る状態になっていたんですね。自分にムチを打って次のステージに行こうと考えだしたんです。

 

でもなかなか決心がつかなくて。知人に「とりあえず、物件探しをしてみたら?」と言われてやってみると、結構面白くて、だんだんその気になってきたんです。何気なく賃貸マンションを調べていたら、本気で引っ越ししたくなっちゃうみたいな感じですね。一つアクションを起こして、0を1にすれば、2、3、4と進んでいくものなんですよ。

 

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ただし、そのころ長野の実家では、母が病気になり父が介護している状態で…。まさに今家族がSOSを出そうとしているときに、独立なんて考えていていいのかと。とはいえ、地元に帰ったところで何もできるわけもなく…。平常心ではいられない状況でした。

 

周りの仲間からは、「ちょっと休んだら」とか「無理しないでね」と言われていました。でもその中に一人、「独立するっていったでしょ? 男が弱音を吐いてどうするの?」と厳しく叱ってくれる人がいたんです。そのときは正直「えっ!!」と思いましたけど、その言葉に押されて独立の夢がまた動きだし、ポロッと今の物件が出てきたんです。

 

ジョン・レノンの名曲にインスパイアされて

 

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サロン退職から開店まで1カ月もなかったですが、内装を考えたり、店名を考えたりというのは楽しい作業だったので、ほとんど寝なくても平気でしたね。よく聞かれるのは「WOMAN」の由来。女の人を敬う気持ちを表したかったからこの名前にしました。女の人って子供を産んで育てて、男性を支えて…ホントにすごいって思うんですよね。

 

あのジョン・レノンにも「WOMAN」っていう名曲があります。オノ・ヨーコに向けた内容で、やはり歌詞には彼女へのリスペクトが込められているんです。店名を「WOMAN」にしたら男性が来なくなるかもしれない…という心配もなくはなかったのですが、おかげさまで新規の男性客もいます。ロゴと店内の雰囲気をフェミニンにしなかったのがよかったのかもしれません。

 

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そんな「WOMAN」も2周年を迎えました。家賃の更新とか消費税の納税とかで出て行くお金も多いですが、経営的には安定してきたので、新しい仲間を増やして次のフェーズに進むことも考えていきたいです。

 

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オーナーとしてはまだ新米の僕ですが、これから独立したいという人に伝えたいことがあります。それは、「常にその気でいること」です。例えば、独立するつもりなら、いい感じのお店に入ったとき、写真をとって参考にしたりすると思います。独立する前提で見るのと、そうじゃないのだと情報の入り方が違ってくるので、ぜひ、「その気」でい続けてほしいです。

 

プロフィール
Hair Salon WOMAN 
太田敏さん(おおたさとし)

http://hairsalon-woman.com/

高校時代は野球に没頭。卒業後の進路に迷い、約1年半、地元の電力会社にて勤務した経験を
持つ。退職後に上京し、専門学校入学。都内の有名店を経て、尊敬していたスタイリストを追いかけて南青山の“Luxe”にオープニングスタッフとして加入。8年間在籍し、2013年12月に独立。代官山に「Hair Salon WOMAN」をオープンさせる。

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

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