人気サロンのトップに聞く、円満退社の心得! 独立する美容師にありがちな問題点とは?

働く側とオーナーの認識ギャップによって揉めごとが起きてしまう

 

 

僕が独立前に所属していたのは、業務委託のサロンです。業務委託契約は、美容師に限らず、会社とスタッフの双方が対等な立場で結ばれる契約。自分の利益にならないようであれば、スタッフが自ら契約を解除できますので、理解のあるオーナーであれば、本来独立で揉めることはないと思います。実際に僕の場合は、独立することを歓迎してくれました。

 

もともと、業務委託契約を結ぶ段階で独立の意思を伝えていて、オーナー側もこれから店舗を増やしていきたいと考えていたため、自分の店舗から独立する人を出すことで実績を作りたいと思っていたんです。お互いにそのスタンスがあったので、辞めるときも何も揉めることはありませんでしたし、今も友人のような関係を築けています。

 

とはいえ、業務委託のサロンでも独立してほしくないというサロンもあります。揉めごとが起きやすい理由は、会社側と働く側の認識にズレが生じてしまうから。契約前に独立を決意しているのであれば、事前に「このくらいで独立したいんです」と伝えておけば、契約するかどうかは会社やオーナー次第ですよね。事前に伝えることで、サロンが独立についてどう考えているのかを知る機会にもなります。逆に契約してから「やっぱり独立します」と伝えると、オーナーが独立を想定して契約していたわけではない場合、揉めてしまうことがあるのだと思います。

 

ただ正直、個人的には業務委託であれば独立の意思を必ず伝える必要はないのかなと思います。伝える必要があるのは、独立後も業務委託のサロンと良好な関係を築きたいとき。そこにいるスタッフやオーナーといい関係を続けたいのであれば、独立を決めたタイミングで早めに伝えることが必要だと思います。

 

揉めないことが大切なのではない。オーナーも独立する側も人として恥ずかしくないことをするべき

 

そもそも僕は、揉める揉めない以前に応援してもらえる状態で独立するのが一番いいと思っています。働いているサロンの人たちに応援してもらえたり、そこで働いている業務委託のスタッフから「僕も一緒にやりたい」と言ってもらえるほうがいいですよね。「揉めなかった」という結果より、独立した後もそこのスタッフやオーナーがバックアップしてくれる体制が作れれば、その後の仕事がしやすい状態になります。

 

そのためにやるべきなのは、 “人”として恥ずかしいことをしないこと。

 

僕は過去に、お金のない人間から搾取したり、借りたお金を踏み倒したり、報酬を払わなかったりする、人として恥ずかしい行為をするオーナーのもとで働いた経験があります。

 

独立するにあたってサロンとスタッフ間で話し合うとき、どちらにもそれぞれの主張があります。しかし、最終的には契約内容や会社のルールが重要なんです。しかし、その契約やルールって、力のないアシスタントや知識のない新卒の時代に結ばれるものなので、スタッフに不利で一方的なものも多い。つまり、オーナーやサロン側が、スタッフが円満に退社できない状況を作っていることが多々ある、ということ。

 

一方的で理不尽な押し付けがあっては、いい環境は作れません。オーナー自身も正当な約束やルール、契約を守り、二言はないという状態を作り出す必要があると思っています。

 

そのためには、オーナーだけでなくスタッフも“人“としてちゃんとしている必要があります。難しい話ではなく、契約を破らないなどの、ごく一般論で当たり前のこと。僕が独立の前に勤めていた業務委託のサロンは、お互いが人としてちゃんとしていたから円満に退社できたのだと思います。

 

 

プロフィール
Lily
代表取締役/柳本 剛

フリーランスでの活動ののち2014年「Lily」をオープン。くせ毛・縮毛矯正の匠であり、1万人以上のくせ毛を扱い辿り着いた、独自のヘアケア理論を持つ。その理論の集大成がヘアケアブランド『Flowers』である。2017年にはカット料金を54,000円に引き上げ、業界に衝撃が走る。

 

(文/QJナビDAILY編集部)

 

 

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